研究実績の概要 |
明治期以降における精神障害者受け入れの中心であった岩倉病院(1884 年~1945 年) の事務資料、会計資料、患者入退院簿、写真などを複写することが研究の出発点になるが、27年度中に資料のかなりの部分の複写を終えることができた。 地域で患者を預かることと岩倉病院の関係を考えるうえで、地域の一般家庭で患者を預かっていた「保養所」と呼ばれる所について解明を進める必要があるが、その「保養所」が岩倉とともに多くあった金沢の場合を調べることにより、「保養所」と呼ばれる所がいつごろからどういう理由で設立されるようになったのか、どのような人が入所していたのか、病院と「保養所」の関係はどのようであったのか等についてある程度の見通しがたつようになった。そしてその見通しのもとに、2015年7月にウィーンであった第34回International Congress of Law and Mental Healthで‘Guesthouses for mentally ill people in Iwakura, Kyoto, Japan and law'として発表すると、評価され、Journal of Psychological Science, vol.2,no.1(January 2016)に‘Family Care of Mentally Ill Patients in Iwakura, Kyoto, Japan'として掲載された。 また‘Patient Work and Family Care at Iwakura, Japan, c. 1799-1970’がErnst Waltraud ed.‘ Work, psychiatry and society, c.1750-2010'(Manchester University Press, 2016のpp.182-193に掲載された。
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