研究課題/領域番号 |
26350370
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
松田 利彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50252408)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 植民地医学 / 朝鮮 / 志賀潔 / ハンセン病 |
研究実績の概要 |
1. 基礎的文献の収集:初年度に当たる平成26年度においては、基礎的文献として、近代日本医学史・植民地医学史についての研究書および日本統治期朝鮮の医学者の回想録類の収集につとめた。 2. 資料調査:本研究の骨子となる未公刊一次史料の調査に力を入れた。国内では、京都(京都大学中央図書館、同医学部図書室、同人文科学研究所図書室、京都府立医科大学図書館および国際日本文化研究センターなど)や東京(国立国会図書館憲政資料室、防衛庁防衛研究所図書館、外務省外交史料館など)が中心となった。とくに『医海時報』『満鮮之医界』『朝鮮之衛生』などの雑誌類の調査を進めた。特記すべきものとしては、萩博物館で1910年代の総督府衛生顧問をつとめた山根正次の文書、山口県立図書館で1920年代の朝鮮総督政務総監だった湯浅倉平の関連文書、北海道大学医学部図書館で朝鮮各道の衛生要覧・衛生統計など、これまでほとんど利用されていなかった資料を収集した。国外では、韓国でソウル大学図書館、同医学部図書館、国会図書館などで、総督府刊行の衛生調査類を収集した。 3. 研究成果発表:日本国内及び韓国で成果を発表した。京城帝国大学の創設過程と今後の課題をめぐって、同志社コリア研究センターおよびソウル大学校奎章閣で発表した。また、1920年代の朝鮮における医療政策の中心となった志賀潔について、翰林大学校日本学研究所・ソウル大学校医科大学校で発表した。また、これらを踏まえた研究論文として、「志賀潔と植民地朝鮮」(『翰林日本学』第25輯、2014年12月)を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的文献の収集および日本国内での資料収集はおおむね順調に進んだ。ただし、憲政資料室所蔵文書(寺内正毅関係文書、立花小一郎関係文書、斎藤実関係文書)から医学史関係の個人文書・書簡をピックアップして収集する作業は、平成27年度に持ち越しとなった。また、台湾・米国での資料収集の必要性も感じていたが、実現できなかった。 平成26年度に職場の執行部に任命され、多くの行政的事務に時間を割かなければいけなくなったことが理由である。また、データ入力・資料整理のため謝金支払いを予定していたが、依頼していた研究者が体調不良のため作業ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1. 国内での資料調査 日本国内では、国会図書館憲政資料室所蔵の個人文書(寺内正毅文書、立花小一郎文書、斎藤実文書)、北里研究所所蔵の北里柴三郎関係資料の調査を進める。 国外では、ロックフェラー財団に代表される戦間期のフィランソロピーと日本植民地の関係を明らかにするため、ニューヨークのRockefeller Archive Center,フィラデルフィアのAmerican Philosophical Society, およびPresbyterian Historical Societyで関係文書を調査する。韓国の国立中央図書館・ソウル大学校、台湾の中央研究院・国立台湾図書館での調査も計画している。 2. 研究成果発表 平成27年月に、国際日本文化研究センター・中央研究院台湾史研究所共催ワークショップの主催を計画しており、研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度当初に予定していた米国・ヨーロッパでの調査を実行することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
米国(ニューヨーク、フィラデルフィア)での調査は2015年4月に実施する計画である。またヨーロッパ(ドイツ・フランクフルト、スイス・バーゼルおよびジュネーヴ)については2015年度に実施する計画である。
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