江戸時代人の生活を復元するために、社会階層が異なる遺跡の死亡年齢構成と古病理学的観察を行った。乳幼児は東海地方の漁村の子墓から出土した骨で、出現率が最も高いのは3~5才の幼児で、次に胎齢10ヵ月である。比較した大阪の商家の死亡年齢は胎齢10ヵ月が最も多いが幼児は少ない。死亡年齢分布の差は埋葬様式の違いと考えられる。成人は近畿の山村人で、死亡年齢は55才以上が最も多く35才以下は少ない。この結果は他地域の農村部と同様であり、若年層の死亡率が高い都市部と比べて長寿である。 古病理学的には、山村人に脊柱や肘関節の関節症がみられ、さらに生前に歯を喪失した個体が非常に多く、生業との関係が推察される。
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