研究課題/領域番号 |
26350379
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
小池 富雄 鶴見大学, 文学部, 教授 (40195631)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | X線CT撮影 / 漆工史 / 蒔絵 / 螺鈿 / 彫漆 / 無紋漆器 / 文化財保存修復 |
研究実績の概要 |
当年度でのCT撮影は10点余、ソフトエックス線などでの調査は30点余であった。(本研究の開始以後の3年間でCT撮影の総点数は、延べ30点余、ソフトX線はじめデジタル画像撮影などにより調査した文化財の累積総数はおよそ100点)。日本、中国、朝鮮などの古漆器を調査して画像の判読、分析と相互間の比較検討をした。時代判定、真贋判定、破損状態判定など有効な画像データを集積している。蓄積した分析データ量も東洋の古漆器に限定すれば学会の最大水準と考えている。 【専門学会での発表】1.渡邉裕香、小池富雄「X線CTを利用した黒漆椿捻子文螺鈿香合における層状紙胎構造の非破壊分析」ポスター発表 文化財保存修復学会 第38回大会 6月26-27日 於東海大学湘南キャンパス。2.小池富雄、松本達弥、小菅太一、渡邉裕香、野口明日香 ポスター発表「朱漆鳥獣草花図箔絵手箱の保存修復と分析ーX線CT撮影はじめ科学的分析を応用した保存修復ー」東アジア漆工芸プログラムinハノイ(ベトナム語ポスター)於ハノイ国立美術博物館 8月19日~25日。 【報告書】下記を他の研究費で刊行した。小池富雄『漆芸文化財のX線CT調査報告ー東アジア古漆器を中心にー』渡邉裕香編 6月26日。鶴見大学文学部文化財学科 小池富雄研究室発行。 【口頭発表】国際シンポジウム招待発表には、小池富雄「新安船の中国漆器から判明する漆工史上の重要な知見」 韓国国立中央博物館 新安沈船発掘40周年記念国際シンポジウム、2016年9月2日於ソウル国立中央博物館講堂。国内シンポジウムの招待発表には小池富雄「永楽の堆朱と茶の湯における唐物漆器の受容」茶の湯文化学会、平成28年度大会シンポジウム、2016年6月11日 於名古屋文化短期大学。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学内外の研究協力者の熱意と努力により、更なる分析とデータ収集に務めることができた。しかしながら研究協力者の大学院生の多くが、当年度は休学・退学したために実働人員が減少し、加えてまた修士論文の執筆はじめ大学院生各自の論文執筆が重なったために、撮影と撮影画像判読のための時間が持ちにくかった。平成28年度末の終わりころから、進学・復学してきた大学院生が再び揃い、当初の計画した人員組織で研究の進行に復活できた。一時停滞した研究の進行を、参加者全員の努力で取り戻した。
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今後の研究の推進方策 |
4年目となる平成29年度は、従来の研究体制、方向、組織などを継続維持する。分析サンプルを更に増加させて、全データを相互に比較検討することにより、産地、製作年代、技法の特色などを広い視野から見直して、研究精度を高めたい。幸いにも研究対象となる東洋の古漆器文化財の所有者である博物館、美術館、寺社、コレクターからは多くの分析サンプル提供の申し出が増加しており、素材集めには苦労はない。 今後多数のサンプルをCT撮影、X線撮影などしてデータ収集に努め、併せて画像解析の研究量を増加蓄積していきたい。また5年目の最終年度を控えて全体の調査報告をいかようにまとめて活用するかの方向性を検討し、最終年度には報告取りまとめに集中できるように計画を平成29年度から準備をしておきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の大学院生が、休学あるいは学位論文執筆に専念するために謝金、交通費などの出費が予想以上に減少したために、次年度使用額が生じた。学会参加及び出張などの経費支弁のタイミングを逃したのが大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に入ってからは、撮影すべき文化財の半年分程度以上の数量を既に手元に預かっており、今後はこれまで以上に撮影点数を拡大してデータ収集するので、X線CT撮影の撮影料金は、増大する見込み。 金沢での専門学会での発表を既にアクセプトされており、研究協力者の大学院生2名も含めた旅費、謝金などに充てる予定。
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