東アジア古漆器のX線CT撮影、X線撮影を応用した構造分析、修復への実際の応用、産地時代判定へのデータ蓄積を継続した。 毎年継続の専門学会での発表には、文化財保存修復学会第40回大会(会場高知カルポート、会期6月16・17日)において「近世文箱類の器形と木地構造ーX線CT撮影はじめ非破壊分析による保存修復への応用ー」、野口明日香研究代表、小池ほか「桜燕蒔絵源氏物語書箪笥の修復と木地構造の科学的分析」の2件のポスター発表をした。 上海博物館が初めて企画した中国漆器を特集した特別展「中国歴代漆器藝術 千文万華 In a Myriad of Forms:The Ancient Chinese Lacquers](展覧会会期2018.11.15-19.2.26)の開幕に併せて開催された国際シンポジウムに小池は11月15日に招待発表し、翌日の午後のセッションの司会を担当した。発表題目「宋代漆器ー伝世品を中心とした彫漆・無紋・螺鈿の様式と編年及びX線CT撮影による非破壊分析」(予定稿『中国漆器国際学術検討会 説文稿』164-176頁上海博物館編)。 最終年度の成果報告の1つとして、「うるし研究の最前線」と題して鶴見大学文化財学会の主催による秋季公開シンポジウムに研究代表者の小池の総論をはじめ研究に参加・協力した4人を含めて公開シンポジウムを開催した。(会場・鶴見大学会館、日時・平成30年11月17日土曜日、聴衆120人)。テーマは以下、小池富雄「総論 文化財学としての漆工芸研究」、室瀬祐(本学非常勤講師・博士)「漆工文化財の保存修復ー日本の指定文化財と在学作品の修復」、渡邉裕香(本学・大学院研究生)「X線CTはじめ科学的な分析を応用した漆工文化財研究ー本学での事例を中心にー」、野口明日香(本学・大学院生)「桜燕蒔絵源氏物語書物箪笥(本学新収品)の保存修復と科学分析」。
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