本年度は、主に開発したシステムの運用実験および来館者による評価実験を行った。また、身体動作を伴う伝統芸能を対象としたシステムの開発および学会発表、伝統芸能のモーションアーカイブの拡充と映像コンテンツの公開を行った。 1.国立歴史民俗博物館の企画展「デジタルで楽しむ歴史資料」において、江戸時代のすごろくの遊び支援システムと、HMDとWiiリモコンを用いた蒔絵万年筆の閲覧システムを8週間展示し、運用実験を行った。各システムは動作ログを取得できるように改良し、コンテンツの種類やインタフェースの違いによる分析を行った。また、3日間に渡って博物館の来館者による聞き取り調査を実施し、システムの有用性の評価を行った。 2.身体動作を伴う伝統芸能を対象としたシステムとして、舎利容器の舞人の動作をCGアニメーションで表現したインタラクティブコンテンツを制作した。舎利容器のレプリカの舞人の画像をマーカーとし、タブレット端末のカメラでマーカーを認識すると、対応する舞人のCGアニメーションを重畳表示するようにした。舞人のCGアニメーションにはモーションキャプチャで取得した雅楽の動作を適用した。評価実験により、舎利容器の興味喚起や理解支援に対する有用性を確認した。 3.伝統芸能のモーションデータの活用例として、昨年度に開発した少林寺拳法の単独演武作成システムの評価実験を行い、国際会議で発表を行った。さらに、琉球舞踊のモーションデータの計測を行い、伝統芸能のモーションアーカイブの拡充を行った。また、過去に取得したクラシックバレエの古典作品や練供養の行列などのCG表現結果を映像コンテンツとして公開した。
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