研究課題/領域番号 |
26350393
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
北村 啓子 国文学研究資料館, 古典籍共同研究事業センター, 准教授 (60204913)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Augmented Human / Augmented Reality / Digital Exhibition / 4k,5kモニタ / 文化遺産 / 和古書 / 巻子 / デジタルアーカイブス |
研究実績の概要 |
H27年度は4k,5kモニタの精度を活かし、高精細撮影画像データの高い再現性、原本を人間の目で識別する限界を超える品質で見せることに注力した。画像品質を劣化させる画像データの不可逆変換を避け 4k,5kモニタの性能を最大に活かすことにより、詳細まで再現できるデジタルコンテンツの作成を行った。4kモニタを複数台つなぎ超横長の臨場感ある巻子表示の実験を行った。 当館の通常展示にて、巻子『浦島太郎』は 2200万画素 20コマの撮影画像を一巻のデジタル画像にし3台の超横長モニタを使用し自動巻きの展示手法で提示した。冊子体は『金々先生栄花夢』2100万画素 8コマx2冊『雨月物語』94コマの撮影画像を読書イメージの自動頁めくりで提示した。 短期間でテーマを替える特設コーナのデジタル展示も開始した。「生巧館木口木版作品群」では、約6千枚の木版画の内80枚を未整理のままカテゴリー分けだけを行い、見る人が新しい発見をできる新しい展示手法で提示した。3千万画素クラスの高精細画像をそのまま使用した。沢山のサンプルを次々見せる4kモニタのコンテンツと一枚をじっくり詳細まで見るため retina ipad に高精細画像を入れて併設した。「職人のいる文芸」では、原本展示できない東京博物館所蔵 『近世職人尽絵詞』全3巻のデジタル画像を使用させて頂いた。2100万画素の画像を各巻 15コマ,14コマ,14コマを貼合せにより3巻のデジタル画像を作成し,4kモニタで詳細な描写まで確認できる展示手法で提示した。展示企画者から原本を閲覧した時には気付かなかった発見が多々あるとの評価を得た。
スポット型デジタルサイネージを使用した新しいデジタルコンテンツの作成にも取り組んだ。 モニタが印刷クラスの精度になるのも近いと考え、文化遺産のデジタルアーカイブスをモニタで再現する技術とコンテンツのプラットフォームを検討するため、徳川美術館蔵源氏物語絵巻など国宝・重要文化財級資料の調査・分析に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者が所属する古典籍共同研究事業センターにて、H26年度にスタートした大規模学術フロンティア促進事業『日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築』プロジェクトにエフォートを割き、結果本科研の比重が低くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、電子ペーパや印刷クラスの高密度ディスプレイを中心に試作品の作成などに取り組む。また、高精細投影機、HMDなど新しい表示デバイスを使った実験にも取り組む。これまで作成してきたデジタルコンテンツを使って迅速に評価を行い、設備の充実、システム化を行う。 これまで成果報告をできずに来たので、最終年度は論文作成、学会での報告に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干遅れが生じたため、計画のいくつかには着手できなかったから。
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次年度使用額の使用計画 |
電子ペーパや印刷クラスの高密度ディスプレイを中心に試作品の作成などに取り組む。また、高精細投影機、HMDなど新しいデバイスを導入し、これらを使った実験にも取り組む。 研究成果報告に努め、学会、国際会議・シンポジウムなどでの発表に出向く。
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