最終年度、引き続き第5回および第6回の「公立博物館の地方独立行政法人化に関する研究会」を開催し、指定管理者制度の導入状況と評価、文教施設における公共施設等運営権の導入(PFIコンセッション方式)の動き、各種経営形態の比較、独立行政法人通則法の改正にともなう国立館のガバナンス強化などのテーマについて討議した。また博物館群を設置・管理する地方独立行政法人の設立準備を進めている大阪市が公表した「博物館施設の地方独立行政法人化に向けた基本プラン(案)」についての情報共有も行った。 3年間の本研究においては「対話と連携の博物館」の総括および新たな指針構築に向けた視点から、日本の博物館が直面する諸課題について、上記の研究会ををはじめ友の会サミットの開催など論議の場を設けるとともに、認定特定非営利活動法人大阪自然史センターとの交流、日本博物館協会が主催する研究協議会ならびに博物館登録制度の在り方に関する調査研究検討会への参画などを通じて、日本の博物館の将来に関わる諸課題について、学芸員、友の会・NPO関係者、行政担当者、博物館学研究者など広範な関係者との間で論議を深めることができた。 その結果、指針「対話と連携の博物館」が策定された2000年当時と比べて、博物館の運営形態が著しく多様化し日本の博物館界が様々な課題に直面している現状や、博物館密着型NPOの成長にみられる当初想定していなかった形での対話と連携の進展ぶりが明らかになった。 以上の成果を今後に継承するため、最終年度に当たり、本研究に関わった各方面の方々に依頼をして、それぞれの問題意識に立脚した論考を寄稿していただき、「日本の博物館のこれから―「対話と連携」の深化と多様化する博物館運営―」と題した論集(20題、116ページ)を刊行し、インターネット上にも公開した。
|