「中世温暖期」の気候変動とその影響の解明のため、文書記録から気候史料を収集し、データベースを構築し、気候変動の復元・解析・影響の検討を行った。その結果、日本と中国の気候災害分布から、東アジアにおける乾燥と湿潤の変動が示された。多種の古記録により、7~9世紀は寒冷、10~12世紀は温暖、13~15世紀は冷涼、16~18世紀は寒冷、19世紀以降は温暖、と示された。降雪率と降水日率から、冬季は11世紀から16世紀末に降温し、夏季は11世紀から13世紀後半に昇温し、16世紀末には降温した。なお、日本と中国の台風の出現から、1855年を境に冷涼状態から温暖状態へ変化したとみられる。
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