慣性測量装置にカメラを搭載し、写真測量技術から算出した写真撮影時のカメラの位置を慣性測量の誤差を補正するカルマンフィルターの外部情報として取り入れて、慣性測量の測位精度を向上させる手法を構築した。具体的には、①慣性測量装置(IMU)と多視点写真測量(SfM)及びカルマンフィルターを組み合わせた手法(IMU/SfM/カルマンフィルター手法)を考案し、本方法により慣性測量の測位精度が向上できたことを提示した。本方法の意義・重要性は、慣性測量の精度向上のための新たな手法を提示できた事である。②IMUの加速度と、カメラの撮影時の位置を二階微分したカメラの加速度を用いて、SfMの値が絶対座標となるスケールの付与手法を考案し構築した。本方法の意義・重要性は、SfMのスケール付与方法として一般的に行われている「地上基準点を用いる方法」に比べ、基準点測量が不要になり、労力の低減や利便性の向上が図られる利点がある。また、本手法の同期方法により、同期装置を用いることなくカメラとIMUの同期が行えることを可能にしたことである。③SfM/IMU測量を提案し、有効性を実証した。本方法は、SfMで測定できない区間をIMUで補完して測量をするものである。一般的にSfMは撮影時のカメラの自己位置を、時間が経過したIMUに比べ良い精度で求めることが出来る。しかし、SfMは撮影環境に大きく影響され、必ずしもうまく行くとは限らない。一方、IMUは外的要因に左右されずに計測できる利点がある。そこで両者の利点を組み合わせて、SfMの撮影が困難な場所ではIMUで計測した値をもとに位置を算出できるように開発した。本方法の意義・重要性は、自律測量の新たな手法を提示できたことである。④本手法を、地中導水路の位置測定へ適応させ有効性を確認した。この意義・重要性は、本手法の新たな応用例として提示できたことである。
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