花粉分析によるテフラ降下による植生への影響とその回復過程を調査した.植生が環境変化や人類活動の影響を受けたことは検出できたが,テフラ降下による明瞭な影響は認められなかった.層厚10数cmのテフラは,植生に影響しないようである.しかし,高さ数cmの植物には影響があったと思われるが,花粉生産量が低いため,化石花粉が検出されなかったようである.今後は測定数を増やす必要がある.茨散沼では,火山ガラス粒子の移動の可能性が示され,数10年の噴火間隔での植生への影響とその回復過程は,ある程度撹乱されてしまうようである.テフラ降下による植生への影響を評価するには,さらに高分解能な分析が必要である.
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