研究課題/領域番号 |
26350414
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 秀 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (60260965)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 実験計画法 / テキストマイニング / 対応分析 / 医療データ |
研究実績の概要 |
本研究では、市場における品質不具合発生の未然防止をねらいとして、品質不具合情報を解析し,設計段階,工程管理段階で活用する方法と、その解析結果をもとに設計段階でコンピュータシミュレーションを効果的に計画、活用する方法を開発している。ここでの品質不具合データとは、不具合、事故、リコールなどの現象、原因を記述したものである。またコンピュータシミュレーション技術そのもの開発ではなく、それを不具合防止のために効果的に活用する分野横断的な統計的方法を手法開発する。 品質不具合を未然に防止し高品質を目指すには、デザインレビューの効果的活用が不可欠であり,これを目的にデザインレビューの項目を確認する方法を導いている.従来,製造業での適用を中心に、部品と現象間の関連性、部品間の関連性分析結果など、研究を進めたのに対し、今年は,対象を製薬,流通,情報システム開発などにも広げている。 品質確保のためにコンピュータシミュレーションへ実験計画法を適用する際、これが効果的なのは1. 開発途中のシミュレーションモデルの妥当性検証(validation)、2. 多数の因子から重要な少数因子の絞込み、3. 複雑な応答関数を少数因子の近似関数で表現である。その中で今年度は、特に整備が遅れていると思われる2.について検討を加えている。この問題は,多次元空間の中に興味のある少数次元の空間が存在し、これを少数回の実験で探索する問題となる。この点に着目し、興味のある少数次元の空間に効率的に到達できる方法を検討している。その際、一様計画をはじめとする空間上をまばらに探索する計画、一部実施実験計画の連続的活用などを検討し、多くの場合において空間上をまばらに探索する計画が好ましい性質を持つことを導いている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,研究対象を広げる点は複数の学会誌への投稿など,おおむね期待どおりの進捗であった.その中では,製造業だけでなく,情報システム開発,製薬などを含めている.製薬業界での成果は,Inoue and Yamada (2015)にまとめている.また,コンピュータシミュレーションでの活用については,いくつかの試みはしているものの,大きな成果は得られていない.しかしながら,基礎となるいくつかの性質を導いていて,これらは研究集会などで発表している.また,コンピュータシミュレーションによる実験計画の開発について,品質保証のためのシミュレーション活用の枠組みを俯瞰している.この中では実験計画の基準という点で問題を記述しており,これらの成果は今後につながると思われる.これらを総合的に踏まえ,「おおむね順調に進展している」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に,広い意味での市場不具合情報の解析方法とンピュータシミュレーションによる品質確保について研究を進める.平成28年度は3年目であり,個別の研究を全体としてつながったものにすることを意識して研究を進める.日本品質管理学会の研究会や,名古屋地区の品質管理研究会など,実務家との接点を活用する.その際,データの源を,国土交通省の不具合情報のように国で整備しているもの,個々の企業が用意しているもの,SNS情報など顧客が発信しているものに分け,それぞれに基づく解析方法を導く. また,コンピュータシミュレーションによる品質確保においては,継続して実務家と連携して事例研究も進める.FMEAの枠組みを参考に,列挙された不具合リスクについて,全てを確認するのが困難なので優先順位付けをして,より重要と判断されたものについて,徹底的にコンピュータシミュレーションで検討する方法を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
発表を予定していた国際会議を,体調に関する諸般の事情により,参加できなくなってしまったため,残額(約11万円)が生じている.
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に開催される国際会議での発表にて使用することを検討する.
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