研究課題/領域番号 |
26350417
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中田 和秀 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (00312984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オペレーションズ・リサーチ / 最適化 / 数理計画法 / ロジスティクス / 物流 |
研究実績の概要 |
本研究では、状況の変化や諸問題解決に短時間かつフレキシブルに対応できる実用的かつ汎用的な物流システムの構築を目指す。そのため、不確実性を考慮した意思決定モデルの提案、物流モデルに特化した効率的な最適化アルゴリズムの研究と実装、実務家が直感的に操作可能なユーザインタフェイスの開発を行うことが目的である。平成26年度は次の研究を行なった。 複数の物流会社にヒアリングを行い、現状の物流の問題点と展望について意見交換を行ない、プロトタイプとなる物流システムのモデリングを行なった。また、そのモデルを解くための最適化アルゴリズムについて調査の後、幾つかの予備実験を行なった。 幾つかの現実問題に対し、それを効率良く解くためのモデル化とアルゴリズムの開発を行なった。具体的には、キークレーン配置問題に対して、ラグランジュ緩和を適用して近似解を求める手法を提案した。また、汎用的な労働条件を考慮したスタッフスケジューリングに対するワークスケジューリング最適配分問題に対して問題の適切な分割法や効率的な解法の提案を行なった。 現状を分析するための線形回帰において説明変数間に強い相関があったり、一次従属な変数関係がある場合、数値誤差の影響を強く受けて推定量の信頼度が低下する。相関係数行列の条件数に注目して、条件数に上限の制約を与えた変数選択問題を混合整数半正定値計画問題として定式化し、切除平面法による解法を提案した。また、条件数以外の指標に制約を与えた変数選択問題に対しても適用可能な厳密解法を提案した。また、様々な条件を含んだ行列近似問題を効率良くアルゴリズムを提案した。 これらの成果を専門分野の研究者に紹介し、学術交流を通じてその意義を明らかにするため、2本の査読付き論文を発表した。4件の国内学会での発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成26年度は物流システムの整理と最適化アルゴリズムの研究を行うものであった。実際に、複数の物流会社にヒアリングを行い、現状の物流の問題点と展望について意見交換をした。それを踏まえ、プロトタイプとなる物流システムのモデリングを行なっている。また、ソフトウェアの実装のための計算機環境を整備した。また、幾つかの現実問題をモデル化し、それらを効率良く解くためのアルゴリズムを提案・実装を行ない、様々な知見が得られた。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、初年度に引き続き物流最適化に対するアルゴリズムを開発・実装し、その有効性を数値実験によって検証する。数値実験の結果をフィードバックし、より良い最適化モデルに磨き上げる。また、これまでの理論・実装両面での知見をベースにし、モデル化、アルゴリズム、実装を統一的な立場から整理する予定である。
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