研究課題/領域番号 |
26350418
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 定省 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (50323811)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顧客満足度 / 愛着 / 後悔 / 顧客ニーズ |
研究実績の概要 |
本研究は、従来の機能的充足指標をベースとした顧客満足度(CS)やロイヤルティに関する研究枠組を、顧客ニーズを起点として機能的充足のみならず感情的充足の両側面から見直し、拡充することで、ガラパゴス化、多機能性疲労、過剰品質、グローバル競争力の低下といった状況を打破するための知見・示唆を得ようとするものである。今年度は、研究の初年度にあたり、従来の機能的充足指標をベースとしたCS関連項目に対し、愛着や後悔といった視点からの感情的充足指標に関する測定項目を新たに加えた調査票の設計をおこなった。 また、これらの充足を誘引する要因として、製品・サービスが消費者本来のニーズにマッチしているのか、またミスマッチといった乖離状態であるならば、それは不足しているのか、過剰に提供されているのか、といった観点からのニーズマッチングに関する測定項目などの測定項目を併せて追加することで調査票を作成し、3製品(携帯電話、パソコン、テレビ)、2種のサービス(美容院、アパレル)を対象に調査票による調査を行った。製品別、サービス別に加え、全体をプールしたデータにて仮説モデルにおける各項目をデータの信頼性をチェックしながら相互関連性をSEM(Structural Equation Modeling)を用いて検証をおこなった。 その結果、ニーズミスマッチはCSを低下させる一方で、後悔を増大させ、総じてロイヤルティの低下に結び付くことが示された。また、単に高品質・高機能といった機能的充足を満たすだけではなく、いかに消費者のニーズを的確に捉え、それを最大限に満たすといったといった観点が愛着といった感情的充足には不可欠で、この感情的充足はCSと比べてもロイヤルティ向上に大きく寄与する。ものづくりの原点・基本姿勢に立ち返ることの重要性が改めて示唆される結果と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度にあたる今年度は、機能的充足と感情的充足の両側面に焦点を当てた顧客ロイヤルティ構造に関する調査票の設計および作成を行い、日本国内にて3製品、2サービスを対象としたアンケート調査を実施し、仮説モデルの検証を行った。 次年度以降、より多くの製品・サービスならびに海外へと調査対象を拡大するための基礎を充分に構築できたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は今年度得られた研究成果を基に、年齢や性別をはじめとするデモグラフィック要因別に仮説モデルにおける各項目を、データの信頼性をチェックしながら、抽出・同定し、その関連性を検証していく。機能的充足と感情的充足の交互作用や、それに与えるニーズマッチングの影響など、各項目の複合的な相互関連性に着目し、層別を行ったうえでSEMを適用することで、その共通構造とともに、個人特性による影響を明らかにするとともに、国際会議での口頭発表や国内外の論文誌への投稿等を開始する。
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