研究実績の概要 |
各国の産業間の貿易データ,財ごとの国間の貿易データから財ごとの各国の産業間の貿易コスト推定して,その貿易コストを用いて財ごとの各国の産業間の貿易額を推定するモデル(昨年度開発済み)を用いて,英国のEU離脱による最適経済圏の変化,トランプ政権による保護貿易政策がもたらす各々の国における貿易額の変化を定量的に推定した。この結果について,国際会議NetSci2017にて講演を行い,現在論文執筆を進めている。 このような貿易額の急激な変化は,外的ショックとして各国の経済へ大きな影響を与えることになり,その影響を推定するためのモデルが必要となる。そのために,金融危機の3つの期間(平常時,バブル期,バブル崩壊期)について,バブル崩壊期には金融セクターの悪化が取引ネットワークを介して実体経済の悪化をもたらす事例の存在をデータ解析によって実証するとともに,各企業と金融機関の健全性を(株価収益率より推定した)スピン変数で表現したモデルによって,外的ショックを推定する方法論を開発した。今年度に実施した本国内を対象とするモデル開発と実証研究によって,米国, EU, ASEAN, 中国を対象に分析できる方法論を確立できた。この結果について,国際会議Complnet2018にて講演を行い,現在論文執筆を進めている。 今後,特定の国で発生した実体経済の悪化(貿易額の急激な減少)や金融セクターの悪化による外的ショックが,他の国々へ広がっていくようなグローバル・マクロ健全性に関わる経済危機の分析への適用を進めていく。
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