研究課題/領域番号 |
26350429
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
梶原 康博 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (70224409)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 作業教育 / 設備保全作業 / 画像処理 / RFID |
研究実績の概要 |
当初計画に従い,作業教育支援装置の開発,作業分析の自動化手法の開発および中高年齢者の作業適性を簡便に測定できる手法の開発を行なった.作業教育支援装置に関しては,平成26年度までは特殊工具を自動判別できる機能のみであった.今年度は,機械設備の分解途中の映像から作業進捗を判定し,進捗状況に合わせて逐次的に作業方法を現場作業員に提示できる機能を実現した.作業分析の自動化に関しては,RFID装置を用いて複数の作業員および検査器具の位置を追跡できる方法を開発した.26年度までの位置推定手法はキャリブレーション時には得られていない新たなデータに対しては推定精度が低くなる問題があった.そこで,交差検証法を用いて推定誤差(汎化誤差)が最小となる統計モデルを求める方法を開発した.作業適性評価に関しては人工現実感技術による仮想作業域での作業実験から実作業に対する作業適性を推定できる手法を開発した.実作業域における複数の作業条件の下で得られた作業時間から作業員の適性を2群に分類した.次に,仮想作業域における作業時間から作業員の適性を推定できる手法を開発した.この手法においても仮想作業域における作業時間から実作業に対する作業適性の推定精度を高めるために交差検証法を用いて推定モデルを選定した.さらに,28年度に予定していた中高年齢者を含めた作業員の作業姿勢を評価できる手法を開発した.従来は作業姿勢の評価にOWAS法が用いられている.しかし,OWAS法はスマートスーツなどの腰部の曲げトルクを補助するための器具の装着が想定されていない.そこで,腰部の曲げトルクの補助力を加味して作業姿勢を評価できるようにOWAS法を拡張する方法を提案した.また,平成26年度の研究成果を学術論文誌2偏,国際会議2偏,国内会議4偏により公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の当初に計画した作業教育支援装置の機能向上を行なった.次に,RFID技術を用いて複数の作業員および機材の動線と滞留時間を測定できる方法を開発し,PCに実装した.さらに,中高年齢者に対して作業内容に対する作業適性を人工現実感技術を用いて簡便に推定できることを可能にした.作業適性の推定手法に関しては論文1編を投稿済み(査読中)である.作業教育支援装置および作業姿勢評価手法に関しては学術論文誌に合わせて2偏が掲載されている.
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今後の研究の推進方策 |
作業分析の自動化に関しては,27年度に引き続き位置追跡精度の向上を目指す.加えて,作業員が場所を移動することがないセル工程を対象として,標準時間と実時間との相違を自動計測できる手法を開発する.作業姿勢評価法に関しては,27年度に引き続き判定精度の向上を目指す.具体的には,提案手法による判定結果と産業医の判定結果との一致割合が95%以上となることを目指す.予備実験では,95%の一致割合が得られることを確認している.28年度は,対象作業の範囲を拡大して提案手法の実用性を検証する. さらに,26年度,27年度の研究成果を統合することにより,従来の中高年齢者活用支援手法を補完するとともに,再体系化を行なう.
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