当初計画に従い、作業負担評価を自動化するための方法および装置を開発した。これまでにOWAS法に準拠した作業姿勢設計支援システムの開発を行っている。このシステムにより作業負担を軽減できる作業姿勢を再設計することはできたが、再設計により作業動作が増えることで作業時間が長くなるという課題があった。この対策として作業者に補助具を装着させ、作業動作を増やさずに作業負担を軽減することを考えた。しかし、OWAS法では補助具を装着した状態での作業負担評価は想定されていない。そこで、OWAS法による作業負担評価方法を補助具を装着した作業者の作業負担の評価にも対応できるように拡張する手法を提案した。具体的には、腰部への負担を軽減する目的で用いられる補助具(スマートスーツ)を想定し、補助具の装着時における体幹前屈トルクの軽減量を求めた。さらに、表面筋電図を用いて作業補助具の装着による腰部負担の軽減効果を定量的に求め、体幹前屈トルク軽減量を考慮してOWAS法に準拠した作業負担評価が行えるように姿勢判定基準を定式化した。さらに、提案手法を本システムに実装し、適用例により手法の実用性を検証した。 また、石油化学プラントにおける事故原因の一つとして、省人化により一人当たりの仕事量が増え、現場操作者の誤操作,誤判断が生じる可能性が高まっていることが挙げられる。そこで、石油化学プラントの現場操作を対象として、作業経験が少ない作業員に対して誤操作、誤判断の防止に必要とされるプラント操作情報を情報端末に提示することを考えた。平常時・緊急時の多様な操作手順書を情報端末に表示できるように標準化するための手法および操作開始前に操作対象を確認できる画像認識手法を提案し、2つの手法を情報端末に実装することによりプラント操作情報提示システムを構築した。
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