研究課題/領域番号 |
26350430
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
森口 聡子 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (60407351)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | OR / アルゴリズム / 数理工学 / 数理計画法 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,人的資源管理,シフトスケジューリング問題に内在する離散凸構造を精査し,離散凸構造に着目した効率的な最適化手法を開発することで,既存の意思決定手法よりも精度の高い意思決定と,より多くの情報を扱えるスケジューリングモデルへの対応を実現することを目的とする.目的の実現のため,離散凸最適化ソルバの整備とスケジューリングアプリケーションの開発を行っている. アプリケーション開発の観点では,ユーザーのニーズが高く,前年度に開発・公開した離散凸性判定プログラム(入力した関数が離散M/L凸性等の各種離散凸性を有しているかを判定するプログラム)について,効率化を試みた.効率化に際し,入力が対象としている離散凸性を満たすか,入力がその離散凸性を満たすには「ほど遠いか」を区別する「検査」の概念の導入を試みた.判定や検査の効率が上がることは,モデルの拡張や新たな応用分野の開拓の局面で遭遇する関数の理解においても有益である. また,離散M/L凸関数を含むクラスである整凸関数について理論解析を行い,これまで明らかにされていなかったスケーリング可能性とそれに付随する最適解の近接性を明らかにした.スケーリングと最適解の近接性は,他の離散最適化においても効率化の鍵となる重要な概念である.この結果により,これまで効率的な最小化アルゴリズムが開発されていなかった離散凸関数に対しても,効率的な最小化アルゴリズムを導出する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
離散M/L凸関数を含む広いクラスである整凸関数について理論解析を行い,これまで明らかにされていなかったスケーリング可能性とそれに付随する最適解の近接性を明らかにすることに成功した.スケーリングと最適解の近接性の結果により,これまで効率的な最小化アルゴリズムが開発されていなかった離散凸関数に対して,効率的な最小化アルゴリズムを導出するため,大きな進展である. 以上より,現在までの達成度はほぼ予定通りであり,研究計画は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて,人的資源管理,シフトスケジューリング問題に内在する離散凸構造を精査しながら,アプリケーションの開発と整備を行っていく. 特に,当初の計画通り,新しい付加情報を扱える枠組みを確立するため,広いクラスである整凸関数に対するアルゴリズムについては,重点をおいて研究を進める予定である. ソフトウェア開発,公開に関連する部分では,ユーザーにとっての使い勝手に気を配りつつ推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
外国出張を予定していたが,成果発表先として適切だった学会の開催地が近接地(神奈川県横浜市)であったため,旅費が殆どかからなかったため.本年度のデータ処理は人件費をかけずとも行える範囲に収まり,人件費がかからなかったため. 以上,研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額に差異が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度分として請求する研究費と合わせて旅費,物品費に充当する.研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額に差異が生じたが,研究計画に変更はなく,次年度使用額も含めて当初予定通りの研究を進めていく.
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