研究課題/領域番号 |
26350431
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
榊原 一紀 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30388110)
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研究分担者 |
松本 卓也 神戸大学, その他部局等, 助教 (00625642)
渡邉 真也 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30388136)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スマートグリッド / 再生可能エネルギー / 数理計画 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
主に以下の2点について開発・検討を行った. (1) 自律分散型発電・消費ネットワークの効率解析モデルの開発 自律分散型の発電・消費ネットワークを前提とした太陽光発電機器および蓄電池の最適配置問題のモデル化を行い,数理計画法を用いた特徴解析を行う.各時刻における発電量・消費量がある精度保証の下での予測値として与えられた際に,電力利用に関する効率を最大化するような電力設備の配置と各時刻における電力の融通量を同時に決定するような数理モデルのプロトタイプを構築した.このとき,蓄電池の物理的特性や,変電設備の機器特性を制約条件として取り込んだ上で,複数種類の電力設備を用意し,クラスタごとに使用する設備を選べるようになっている.さらには,現実に測定した豊富な太陽光発電データおよび家庭消費電力データを解析に利用する.たとえば系統電力から自立したスマートグリッドを実現するには,多様な生活パターンをもつ家庭同士がつながる必要がある.使用する家庭消費電力データは,様々な世帯から実測したものであり,豊富な条件設定が検証可能となる. (2) 機械学習に基づく地域電力融通と蓄電計画の高効率化の実現 リアルタイムの電力融通アルゴリズムを,機械学習手法を用いて開発することを目指す.そのために将来の太陽光発電量ならびに消費電力量の予測値の時系列データを対象として,ある精度保証の下での予測値として捉えた上で,(1)のモデルに組み込む方法論について検討した.さらには消費電力に関しては,各時刻の電力消費と生活行動をラベル付け,生活の断片情報へと分割し,高精度の予測を実現するデータ表現方法についていくつかのプロトタイプを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した2点について同時並行的に検討を進め,(1)については,モデルのプロトタイプが完成し,これまでに,1年分の時系列データに基づく最適化計算実験を完了しており,その妥当性がほぼ得られている状況である.また(2)については,リアルタイム意思決定に向けたモデルのプロトタイプが構築されている. よって,当初の予定通り概ね順調に進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要(1)については,種々のスマートグリッドのネットワーク形態を取り上げながら進めていく.スマートグリッドの実現のキーエレメントのひとつに蓄電池があるが,その設置形態ひとつとっても様々な方法があり,さらにはスマートグリッド実現のためには,ネットワーク規模によらず柔軟な拡張性も必要となる.各種ネットワークの形態の有効性を,感度解析手法を用いながら数値的に明らかにしていく. また(2)については,モデルのプロトタイプをより精緻なものにすることにより,実データを利用可能な形にしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については,最適化用計算機の値段が下がったため,減額となった.旅費については,当初予定したものよりも学会発表および神戸大の共同研究者との研究打ち合わせが多くなったため,増額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
計算機消耗品(ソフトウェア)を中心に物品費を執行する.また,旅費については,計3回の国内・国際学会発表と共同研究者との打合せに使用する.また,論文誌への投稿論文の投稿料も予定している.
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