研究実績の概要 |
太陽光発電を基本とする発電家(でありかつ需要家)が自律分散的な電力取引を行うネットワークを構成した際に,全系で安定して効率的な電力需給が行える諸条件(各種電力機器の構成やスペック)を明らかにした.その上で,高効率な地域電力融通と蓄電計画を分単位でリアルタイムに作成した.このとき,電力発電,消費パターンを学習・予測し,また自らが属す地域の電力不足状況を予測し,適切な電力融通を決定することで高効率な電力利用を実現するための機械学習手法を開発した.システムは(1)事前学習データ生成部と(2)リアルタイム運用部から構成される. この際,クラスタ内部,またはクラスタ間での電力移動の向き,供給電圧,電流を制御し,安全な配電と蓄電を実現するための電力ルータ装置の設計・開発を行った.また,各ミニマル・クラスターの電力発電,消費パターンを学習,予測し,また自らが属する電力ネットワークの電力不足状況を予測し,適切な電力価格を同定することで効率的に電力融通を実現する為の機械学習手法を構築した. 構築したクラスタ間の電力需給方法を設計・評価した.各クラスタの基本特性に基づき複数の需給先から選択するアルゴリズムの設計・評価を行った.電力料金一定のもとで,ネットワーク全体で生じる不足量最小化を実現した. 上記を達成するにあたっては,(1)で得られたオフラインの(準)最適運用計画をもとに,リアルタイム性を有する電力マネジメント則をニューラルネットワークを用いて実現した.ニューラルネットワークでは,実運用結果と運用則学習したデータを比較し,比較的短い負荷変動に追従する運用手法を学習されている.将来的には、計算時間の関係から現在計算に含まれていない消費行動のモデルを導入するなどで,計算時間が長時間化しても最適化運用を続けることができる精度までこの機械学習を高度化する.
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