研究課題/領域番号 |
26350435
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
池上 敦子 成蹊大学, 理工学部, 教授 (90146936)
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研究分担者 |
野々部 宏司 法政大学, デザイン工学部, 教授 (40324678)
梅谷 俊治 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80367820)
田中 勇真 成蹊大学, 理工学部, 助教 (90633933)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 勤務表作成 / スタッフスケジューリング / ナーススケジューリング / モデル構築 / 列挙 / 履歴 / 観測 / 解空間 |
研究実績の概要 |
本研究では,医療,介護を含む広い意味でのサービス業を対象に,限られた人的資源の下で質の高いサービスを提供する勤務スケジューリングに取り組み, (課題1) 勤務表における効率良い修正作業を支援するシステムの構築と,(課題2) 潜在的な制約条件や評価尺度を抽出して最適化モデルを自動修正するシステムを構築し,「納得感」を得る勤務表を短時間で作成できる環境実現を目指している. 平成26年度は,ナーススケジューリングにおいて,各ナースの全スケジュール候補を含むネットワークを構築すると同時に,与えた目的関数に対する最適解を列挙する仕組みを提案した. さらに,飲食店や販売店などの非正規雇用のスタッフが主力である現場を対象に勤務スケジューリングのモデルを提案し,そのモデルに基づく支援システムのプロトタイプを構築した.非正規雇用のスタッフが主力である現場では,スタッフの勤務可能な時間帯が限られているため,個人を意識したスケジューリングが必要である.また,現場によって営業時間や働くシフトの長さ,業務の数や勤務ルールが異なるため,どの現場にも適用できるモデルの構築が難しい.これに対し,本研究では現場ごとに異なる状況や個々のスタッフの都合を1 日単位のスケジュールで表現することを考え,これら単日スケジュールを組み合わせることで,現場の違いやスタッフの都合を考慮できるモデルを提案した.また,潜在的に考慮されている制約条件や評価尺度を探るため,過去の勤務表からその傾向を観察し,その傾向をスケジューリング支援システムに取り込む方法を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,病棟ナースの各日の勤務を決定するナーススケジューリングを対象に研究を進め,その後,訪問介護士スケジューリングや非正規雇用が主力であるサービス業のスタッフスケジューリングなどにも順次適用範囲を拡大することを予定していた.初年度(平成26年度)は,すでにナーススケジューリングだけでなく,非正規雇用が主力である現場のスタッフスケジューリングにも取り組んだが,以下では,達成度が明らかになるよう,ナーススケジューリングに絞って報告する. 予定していた研究課題は,(課題1-1)各ナースの全スケジュール候補を表現するネットワークと,(課題1-2)ナース間の競合関係を表現するネットワークを構築する手法を開発し,勤務表作成者がナース制約とシフト制約を同時に確認しながら勤務表を修正できる環境を実現することであった.(課題1-1)に関しては,週ごとに実行可能なスケジュール(部分解になり得るスケジュール)を列挙して,その連結可能性を判断しながらアークを設定することで,各ナースにとってスケジューリング対象期間全体に関わる制約(各シフトの回数に対する上下限制約)を緩和した解をすべて含むネットワークを構築することができた.(課題1-2)の「ナース間の競合関係の表現」に関しては,(課題1-1)で構築したネットワークをつないで表現するのではなく,ある対象ナースに関して,他のナースのスケジュールを固定した下で,最適性を失わない修正の可能性を表現することにした.与えられた勤務表(例えば最適解となる勤務表)を基に,(課題1-1)で構築したネットワークの各アークにコスト設定を行うことで,ネットワーク上の最短路を複数列挙することが,良解(もしくは最適解)の列挙につながるような仕組みを提案できた.以上のことより,概ね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は,各スタッフの希望・体調や相性等,勤務表作成者が把握できていない内容や,勤務表作成者自身も意識していない考慮点(潜在的な制約条件や評価尺度)の扱いに取り組む.研究開始時に予定していた平成27年度以降の課題は,(課題2-1)勤務表作成者にとって優先度が低い制約条件と,(課題2-2)勤務表作成者にとって望ましい勤務パターンを抽出する手法を開発し,最適化モデルに現れなかった潜在的な制約条件や評価尺度を把握し,(課題2-3)これらの情報を統合して最適化モデルの評価関数を修正することであった.勤務表作成者が勤務表を作成する過程で加えた修正や過去の勤務表には,最適化モデルの制約条件を違反する部分が少なくない.そこで,(課題2-1)では,最適化モデルの制約条件に違反する部分を「優先度が低い」と捉えることにする.モデルにおいては各制約を満たさなかった度合いをそれぞれ変数で表し,それらに重みをつけて足し合わせたものを最小化するような目的関数設定を考える.そして,勤務表作成者が作成や修正において実際に緩和する(違反を許す)条件を観察し,その結果を目的関数における重みに反映する方法を検討する.(課題2-2)の「 勤務表作成者にとって望ましい勤務パターン」については,過去の勤務表に現れた各スタッフのスケジュールが望ましい勤務パターンで構成されていると仮定することで,各スタッフのスケジュール候補の望ましさを評価することを考える.具体的には,各スタッフのスケジュール候補の望ましさを「望ましいスケジュール」との近さで評価する.(課題2-3)では,情報統合による評価関数の自動修正を考える.この課題は,最終年(平成28年度)を予定しているが,(課題2-1) (課題2-2)の進捗状況により,適宜対応を考えたい.また,制約条件の修正をも含んだ最適化モデル修正を可能にしたい.
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