研究課題/領域番号 |
26350436
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
五島 洋行 法政大学, 理工学部, 教授 (00398950)
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研究分担者 |
島川 陽一 サレジオ工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (10446239)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スケジューリング / max-plus代数 / CCPM / 資源競合 / 組合せ最適化 |
研究実績の概要 |
クリティカルチェーン・プロジェクト・マネジメント (Critical Chain Project Management; CCPM) 法の枠組みを用いたプロジェクトスケジューリングの方法について、タスクの実行順序の決定を組合せ最適化問題の観点で検討した。 既存のCCPM法では、実行順序の巧拙がプロジェクトの実行時間、すなわち解の性能に与える影響や、最適性についての検討は行われていなかった。一方、CCPM法の枠組みをmax-plus代数を用いて表すCCPM-MPL (Max-Plus Linear)法では、同一資源の時間競合が発生しない状況か、競合する場合でもタスクの実行順序は所与であることを前提していた。またクリティカルパスとクリティカルチェーンを同一視していたため、ある条件下ではオリジナルのCCPM法と同一の結果を返さない場合があった。 このため2014年度は、1.オリジナルのCCPM法に対して上位互換性を有するように既存のCCPM-MPL法を改良、2.組合せ最適化問題としての最適化問題の構築、3.構築した最適化問題のソルバー開発、の3点を行った。 1.については、クリティカルチェーンの同定をmax-plus代数を用いて行う方法を考案し、オリジナルのCCPM法と同一の結果を返すだけでなく、多入力多出力系も扱えるようにし、上位互換性を持たせることに成功した。2.では、タスクの実行順序を制約付き変数に割り付け、プロジェクトの実行時間を目的関数とし、目的関数最小化の最適化問題に帰着させた。3.については、全探索によって厳密解を求めるソルバーと、局所探索を用いて近似解を求めるソルバーを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度当初に計画していた検討項目の大半は、年度内に検討が終了した。 最適化問題を汎用ソルバー用のモデルとして記述する項目が未着手となってしまったが、平成27年度に検討予定であった、発見的解法によるソルバーの開発と実装を、一部前倒しで実施できた。 このように未着手の項目と前倒しで達成した項目が混在した状態であるが、全体としてはほぼ予定どおりの進捗と考えてよい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は未着手となったソルバー用モデルとしての定式化に着手し、厳密解が求められるタスク数の範囲を大きくするとともに、新たな発見的解法の考案と実装についても検討する。 また、あるタスクに割り当てる資源の候補が複数ある場合への拡張についても検討する。これは従来のCCPM法では考慮されていなかったクラスへの拡張であるが、実務上よく現れる状況であるため、検討の必要性と優先度は高い。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の体調不良により、国外(マレーシア)での研究発表のための渡航を取りやめ、その渡航費用が未使用となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究会・学会への参加回数が増える見込みであり、2015年度中におおむね相殺される予定である。
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