研究課題/領域番号 |
26350438
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉本 一穂 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50158507)
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研究分担者 |
大森 峻一 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30649348)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Vehicle Routing Problem |
研究実績の概要 |
本年度は「配送計画」のアルゴリズム開発を行った.この問題のゴールとしてはトラック費用最小となるルーティングを求める事である.従来の配送計画問題では物流会社の立場から「トラック台数最小」「走行距離最小」となる問題が扱われているのが大半を占めるが、荷主の立場からトラック運送を委託する際には車種・距離等に応じたタリフに基づき運賃を支払う事になるため最適化する際の目的関数が異なる.この点に鑑み、配送計画問題の料金設定について実態のヒアリングに基づき要件定義を行った.現実的な要件として、荷主が自社のトラック・ドライバーを用いて配送を行う「自社便」、物流会社に運送を委託する「傭車便」の二つの輸送モードを考慮した配送計画問題を作成した.「傭車便」には更にトラック一台を専用でチャーターする「貸切便」と、トラック一台を貸し切るには満たない貨物を対象とした「積み合わせ便」の二つを対象とした問題を扱った.これら複数の輸送モードがある中で、最適な配送計画を行う事が可能となる配送計画問題をモデル化し実装を行った.「傭車便」の運賃算出には1990年運輸省(現・国土交通省)が制定したタリフに基づき汎用的な場において使えるような工夫を行った.定式化された問題に対してGreedy法をベースにした高速に好適な解を求めるヒューリスティクスを開発した.得られた結果を国際会議にて発表し、Best Paper Award を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述した通り「配送計画問題」のモデル開発において実用的な解法の開発を達成する事ができた.開発したヒューリスティクスについては,例えば,数十万件ほどのオーダーの問題であっても数分で解を出す事が出来た.検証のため,得られた解を初期解としてLocal Search,Simulated Annealing法等の改善法を試したが,大きな解の更新は確認できず,提案技法により算出されたアウトプットが最適解に近いものであると確認できる.さらに実際のデータを用いて事例検証を行い,実務家の方に出てきたアウトプットの質・計算時間ともに実用的レベルで問題ない事を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
現在は,「配送計画」のテーマの継続として,日本国内のみならず中国・タイの企業と共同で開発したソフトウェアの適用・修正を行っている.近年のグローバル化の影響で日本の製造業がアジアに進出しているが,中国・タイ等はマーケットとしても着目されており,そのために国内物流も非常に活発化している.国ごとに物流の法律・慣習が異なる事からこれらの特殊性を理解し,汎用的に使えるモデルに更新できるように努力を行う予定である. また,当初の研究計画にあった「在庫管理」機能を合わせた実装を行う予定である.特に多期間の配送計画を考える場合,ある配送オーダーの配送日程を変更する事でトラック積載率が大幅に向上し物流コストが安くなるケースがある.しかしながら数十万件ほどのオーダーがあるため組み合わせ数が膨大になる事から探索範囲を限定する形でより良い積載効率を達成するアルゴリズムを開発する必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
航空券代金が当初想定していたよりも安価で購入する事ができたため
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次年度使用額の使用計画 |
旅費での使用を計画している
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