平成28年度に実施した研究の成果及び研究期間全体を通じて実施した研究成果については,交付申請書に記載した「研究実施計画」のとおり,以下の2点について研究を進めることができた. 1.ベイジアンネット技術と生産システムのロバスト要因分析 平成27年度に構築された数理モデルに基づき,困難作業・変動係数・危険率・作業係数をパラメータ,労働者数・総作業時間・実行時間を解とするベイジアンネットワークモデルを新たに構築し,どのパラメータがどの解にどれほどの影響を与えるかについて,数理計画法に基づくシミュレーション実験を行った.その結果,(1)困難作業パラメータは全ての解に影響を与えない,(2)作業係数パラメータは全ての解に大きな影響を与える,ことが判明した.これにより,一部作業の習熟度を高めることにより,作業係数を正規に近づける必要があることが分かった. 2.ライン/セル混成計画のためのモデル構築とシミュレーション 平成27年度に構築された数理モデルをさらに発展させたライン/セル混成計画のための新たな数理モデルを構築した.具体的には,Suerらのモデルは,多段階の混合整数計画問題を解くアプローチを採用しているが,ライン生産に特化したパラメータのみであり,セル生産に適用できなかった.本研究では,新たな変数を導入することにより,ライン/セルの両方が一つの数理モデルで混成可能な新たなモデルを提案し,平均需要と標準偏差をパラメータとする包括シミュレーション実験を行った.その結果,セルの割合が増えると作業者数が減少し,また偏差が小さいほど作業者数をセルが吸収することが判明した.これらの結果は,国際学会に採択・発表された.
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