研究課題/領域番号 |
26350454
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長山 格 琉球大学, 工学部, 准教授 (80274885)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 社会安全システム / 防犯カメラ / 人工知能 / 画像情報処理 / ひったくり / 自動検知 / 社会システム |
研究実績の概要 |
警察庁犯罪情勢報告によると平成24年度における全国のひったくり認知件数は10,038件であることが示されている(警察庁,2014).ひったくりは頻繁に発生する犯罪行為であり,高齢者や女性等の社会的弱者が狙われやすいという特徴がある.一般に,ひったくりは人目につきにくい場所・時間帯で発生することが多く,路地裏や住宅街,人気の少ない夜道等が危険地帯とされる.そのため,犯罪行為の自動認識・自動検知を行う次世代型の知的防犯カメラロボットを開発し,これを犯罪が起きやすい場所や人気のない場所に設置すれば,安価かつ効果的な防犯の実現が期待される. 本研究は,路上におけるひったくり等の発生を自動検知する知的防犯カメラシステムの開発を目指す.ところが,ひったくり等の発生状況は多種多様であるため,犯罪発生を正しく自動認識する事は簡単ではない.この犯罪発生状況の多様性に対処するため,挙動や状況の様相を認識することができるインテリジェントシステムを構築する.これにより社会安全の向上と治安の維持に貢献するため,ひったくりや事件の発生を正確に自動検知するとともに自動通報と証拠記録を実行可能な高性能次世代型知的防犯カメラシステムを開発する. 平成26年度は,ひったくり等の犯罪行為の特徴を定義・抽出するとともに,その行為の自動認識・自動検知を行うための基本システムを検討した.その結果,対象とする犯罪行為は屋外で発生する事例であることから適切かつ高精度な状況判断を行うために人工知能技術を活用することが重要と考えられる.特に,今年度は犯罪事例の実態調査および再現映像の収集・分析を行った.また,映像情報の解析を通じて基礎的な犯罪自動検知システムの構築を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
犯罪が発生する状況は多種多様であるため,夜間・雨天・雑踏・犯行手段の多様性なども含む多様な状況における映像データを収集する必要がある.本年度は,すでに昼間における基本的な映像データを収集して分析を進めており基盤となる基本特徴パターンの把握に成功している.しかし,ノイズ混入や想定外の異常行動などの例外処理に関する分析と対応方法の検討が必要である.今後,夜間・雨天・遠距離・雑踏等の状況に対しては赤外線撮影や望遠撮影・レーダー等の採用により対処できる可能性があると考えている.また,高精度な犯罪検知を実行できる検知アルゴリズムについて現在検討を行っているところである.
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に収集した映像データに加えて,夜間・雨天・遠距離・雑踏等の条件を追加したデータを収集する.望遠撮影技術や熱赤外線映像技術,レーダー技術などの活用も検討する.特徴分析と検知アルゴリズムの性能を向上させるとともに,より高性能な自動検知システムの開発および評価を進めていく. 特に,例外的な状況・挙動に対する処理システムの効果的なシステム設計および実装を検討していく.AIベース学習システムの活用またはルールベースの構築などにより対処法を適切に決定する.
|