「ひったくり」や「拉致誘拐」は、高齢者・女性・子供など社会的弱者が被害者となりやすい犯罪である。その大きな問題点は、これらの犯罪は人気の無い路地裏や夕方・夜間において発生することが多いため目撃者が少なく、即時通報や被害者救助が容易ではない点にある。これに対し、防犯用ロボットUAVや防犯ドローンを用いた新しい遠隔防犯システム等が研究されている。本研究は、防犯カメラの映像情報等から適切な特徴量群を抽出し、路上におけるひったくりの発生を自動検知する知的防犯カメラシステムの開発を目指す。これにより社会安全の向上と治安の維持に貢献するため,ひったくりや事件の発生を正確に自動検知するとともに自動通報と証拠記録を実行可能な高性能次世代型知的防犯カメラシステムを開発する。 本年度は,前年度までに得られた成果を元にしたひったくり等の犯罪行為の特徴パターンをベースとした自動検知システム検証を行った。特に,犯行の自動認識・自動検知を効果的に行うため,人工知能システムを活用した犯罪自動検知システムを構築し検証した.その結果,機械学習アルゴリズムを適切に応用することによって検知対象とするひったくり犯罪を高精度に状況判断するとともに自動検知出来ることを示した.特に今年度はひったくり犯行手段の多様性に対応するため,夜間における犯行の検知や自転車、バイクを使用したケース等のような犯行事例のバリエーション対応を行い、いずれのケースにおいても自動検知が可能であることを示した。また、カメラからの死角の存在が犯罪自動検知の弱点となることが明らかとなったため、これを考慮して防犯ドローンの応用可能性の検討および基本制御機能の開発を行った。これらの成果をいくつかの査読論文として発表した。
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