本研究は、吊橋・斜張橋等に用いられている構造用ケーブルを対象とし、構造ヘルスモニタリングを考慮した維持管理に関する研究の一環である。まずケーブルソケット部への鋳込み材の特性を把握したのちケーブルの設計法に関する検討を行い、次いで光ファイバを装着したケーブルを用いた引張試験により、製造や測定上の検討を行った。 主な研究成果は、次のとおりである。 ケーブル端末部のソケットに用いる樹脂材としてポリエステル樹脂材を選定し、材料の基本的特性を把握した。ポリエステル樹脂の定着構造で構成されたケーブル構造体の引張試験により十分な強度特性を持つことを確認し、本定着構造を持つケーブル構造体により、光ファイバの装着が可能となった。光ファイバのセンサとデータ特性調査から、ケーブル張力の計測に適しているFBG光ファイバセンサを用い、ケーブルに装着した引張試験により実用上の課題を検討した。センサ挿入ケーブル張力計測試験の結果、機械的な固定装置を用いた光ファイバのケーブル構造体の測定精度は十分であり、張力測定方法の見通しが得られた。また、FBG光ファイバを用いて、ケーブル内部の温度変化曲線からケーブル内部の水分の有無およびその程度を推定できることが確認できた。 以上のことから、光ファイバ装着可能とする新たなケーブル構造体や定着部を開発し、光ファイバセンサを用いてケーブルの張力・湿度変化を把握するモニタリングシステムを構築できる見通しが得られた。
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