研究課題/領域番号 |
26350463
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
辻原 治 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (50188546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 避難シミュレーション / モバイルマッピングシステム / 実写映像 / 災害図上訓練 |
研究実績の概要 |
現状の避難行動シミュレーションシステムにおいて利便性を重視し,500~1000名程度の規模の避難であれば,マイクロソフトExcelで実施できるように改良することができた.その際,道路や建物などの解析に必要な基礎データは電子住宅地図から自動的に作成する手法を用いた.また,避難経路や避難者の配置はExcel上で簡単に設定できるように工夫した. 避難シミュレーションの結果として,それぞれの避難者の行動の軌跡がセルの行番号と列番号の時系列で記録される.一方, MMS(モバイルマッピングシステム)で撮影された映像はそのフレームごとに撮影場所の緯度・経度と関連付けされている.これと避難シミュレーションの結果をリンクさせるために,避難行動の軌跡を列番号・行番号から経度・緯度に変換する.その際,有限要素解析において用いられる形状関数の考え方を応用した. 避難経路沿いに介在する危険箇所とその内容については,地図だけで特定することは地元の住民であっても難しい.一般にDIG(災害図上訓練)で行われるようなワークショップにおいて,数値地図と撮影された避難経路の映像を同時に見ながら特定された危険箇所とその内容がシステムに取り込めるような機能を付加するために必要な基礎的システムを構築した.これを発展させることで,住民らによって付加されたオリジナルの災害情報入りの避難シミュレーションが可能となり,避難行動のようすを表す地図と映像上に,危険箇所とその内容が随時表示される. これらと平行して,避難シミュレーションの結果をVR(バーチャルリアリティー)空間で表現する研究も開始した.MMSで得られた映像を用いて建物などをCG(コンピュータグラフィクス)でモデル化し,これをVR空間に配置して,避難シミュレーションの結果と連動してアバターに避難行動をとらせるものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書類において,平成26年度の計画としていた 1)これまでに開発した避難行動シミュレーションシステムの改善 2)モバイルマッピングで撮影された映像と避難シミュレーションのシステム統合 を挙げており,1)について,従来の避難行動シミュレーションシステムにおいて利便性を重視し,500~1000名程度の規模の避難であれば,マイクロソフトExcelで実施できるように改良することができた.また,2)についても,基本的システムを構築することができた. 以上のことから,区分(2)を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり,平成27年度以降,以下のように研究を進める予定である. 1)実写映像および電子地図を利用した災害図上訓練の機能付加 避難経路沿いに介在する危険箇所とその内容については,地図だけで特定することは地元の住民であっても難しい.一般に災害図上訓練で行われるようなワークショップ形式で,数値地図と撮影された避難経路の映像を同時に見ながら特定された危険箇所とその内容がシステムに取り込めるような機能を付加する.これにより,住民らによって付加されたオリジナルの災害情報入りの避難シミュレーションが可能となり,避難行動のようすを表す地図と映像上に,危険箇所とその内容が随時表示される.なお,システムへの機能付加にあたっては,研究協力者の助言を得る. 2)利用者による評価と課題の抽出およびシステムの改良 地理条件の異なるいくつかの地区や学校に,避難訓練の調査や本研究で開発したシステムを用いたワークショップを実施する.車では入れない狭い通路や階段がある避難経路においては台車や歩行による撮影を行う.そして,システムの適用性や課題についてヒヤリングを行い,システムの改良にフィードバックする.
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次年度使用額が生じた理由 |
MMS(モバイルマッピングシステム)の撮影には,大容量のデータの保存が伴う.データ保存用大容量ハードディスクおよび撮影用のハードディスクを前年度に購入する計画であったが,手持ちのもので間に合わせた.
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次年度使用額の使用計画 |
今後,多くの撮影を行う予定であり,大容量のデータの保存が伴う.データ保存用大容量ハードディスク,撮影用のハードディスクを含め,撮影および映像の処理や配信等に必要な機器やソフトウェア等について検討し,次年度それらの購入費用等に当てる予定である.
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