研究課題
地震発生の際、大規模な火災を伴うことが想定される。地震火災は同時多発的に特殊な状況下で発生するため、通常起こる火災時のように効率的な消火作業が行われることは期待できない。したがって、地域の耐火安全性を検討しておくことは重要であり、火災を想定した避難経路設定や発災時の避難行動の予測が必要となる。そこで、本年度は、延焼解析に基づいて、一棟ごとの地震火災リスク評価を行う手法を開発し、避難経路の選択の意思決定などを支援できるようにした。また、研究助成期間の最終年度であり、本研究でこれまでに構築したシステムの評価を行った。評価は、DIG(災害図上訓練)の実践を通して行うこととし、従来の地図を囲んで行うワークショップと実写映像を援用した方法を比較することで効果を検証するとともに、改善点を抽出した。1回目は平成28年7月20日に高等専門学校5年生を対象とし、2回目は平成28年11月5日に中学1~3年生を対象とした。実践後のアンケート調査の結果、高等専門学校の学生と中学生で、同様の傾向が見られた。どの設問においても、映像を利用する効果が認められ、開発したシステムの有効性を検証することができた。一方、ワークショップを通じて得られた災害関連情報の内容を参加者に定着させるための工夫が必要であることがわかった。今後、避難を疑似体験するのみならず、思考のプロセスを経験することができるコンテンツの開発が課題となる。助成期間中に、本研究の目的は、概ね計画通りに達成することができた。また、研究の評価を行ったことで新たな課題を浮き彫りにすることができ、この分野の発展に貢献できたと考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
土木学会論文集F3
巻: 72 ページ: Ⅱ_13-Ⅱ_22
Proceeding of the 16th World Conference on Earthquake Engineering
巻: なし ページ: 1-9 (in CD-ROM)
巻: なし ページ: 1-8 (in CD-ROM)