我が国には、島と島を結ぶ架橋が数多く存在する。特に瀬戸内海は狭航路周辺にいくつかの架橋が架設されており、船舶の安全運航を考える上で橋梁のレーダ映像のマスキング特性とレーダ反射強度の解析は重要であると考える。本研究では、船舶交通の安全性を向上させるため、形状の高さ、部材などが違う2つの異なる架橋の幅員方向のマスキング特性や反射強度について解析した。 従来、小型船舶などの小物標のレーダ反射強度は、映像内の最大信号強度により評価してきたが、小型船舶などの小物標とは異なる巨大かつ強反射体である架橋について、レーダ反射強度の新たな評価方法を提案した。特に最終年度に以下成果が取りまとめることができた。 (1)形状等が大きく異なる2つの橋梁を対象として、レーダ送信波の幅による距離拡大効果を基準にしたマスキング幅(幅員方向の拡大)の拡大比率を求めることにより、マスキング特性が評価可能である。また、マスキング幅(幅員方向の拡大)はレーダの送信パルス幅による影響が最も大きいと考えられる。 (2)レーダ反射強度の解析において、新たな評価方法を試み、理論値並びに従来の最大強度による評価との比較を行った。これにより、橋梁のフレネル領域と1/2パルス幅で定める範囲と水平ビーム幅と1/2パルス幅で定める範囲の平均強度等によって評価する2つの新たな方法を示した。これにより、空間的広がりのある物標に関しては反射強度を過大に評価するデメリットを改善できる。
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