研究課題/領域番号 |
26350467
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
岡 秀行 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80399518)
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研究分担者 |
岡 泰資 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (10240764)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大気拡散 / 高密度ガス / 浅層モデル / 数値計算法 / 環境影響評価 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,空気より重い気体(高密度ガス)を対象とした大気拡散モデルの一つである浅層モデル(Shallow-Layer Model)に適した数値解析手法を開発することを目的としている。平成26年度は,同次形2次元浅水方程式を対象に円筒形ダム崩壊問題の数値実験を行った。まず,近似リーマン解法における物理量の補間ステップのスキームとしてWAF(Weighted Average Flux)法を採用したFortranコード HYPER-WAT[1]に改良を加え,Wet Bed問題及びDry Bed問題を対象に改良コードの検証を行った。改良した点は次のとおりである。 1.底面からの流入を考慮できるように連続の式を修正した。2.底面での摩擦を考慮できるように運動量方程式を修正した。3.底面の傾斜を考慮できるように運動量方程式を修正した。4.HLL近似リーマン解法からHLLC近似リーマン解法へ高度化した。5.Dry Bed問題に対応できるように,4.の高度化に伴う特性波の修正を行った。6.単精度の計算コードを倍精度化した。 一方,積分型モデルに分類される高密度ガス用簡易解析モデルと詳細な解析が可能な数値流体力学モデルを用いた検討も行った[2]。上述のように現在高度化を進めている浅層モデルを用いて環境影響評価を行うことを本研究課題の最終目標としており,その比較対象となるため並行して研究を推進しているものである。
[1] E.F. Toro, NUMERICA, A Library of Source Codes for Teaching, Research and Applications, (1999). [2] 木村,岡,可燃性液体の洋上漏えいによる被害影響度評価に関する研究,化学工学会第46回秋季大会講演要旨集 (USBメディア),I220,(2014).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では,近似リーマン解法における物理量の補間ステップのスキームとして重み付きENO(Weighted Essentially Non-Oscillatory;WENO)スキーム[1]を導入し,Dry Bed問題における非物理的な数値解を除去する手法の開発を目標としている。しかし,実用的な環境影響評価モデルを最終的に構築する観点からは上記の「研究実績の概要」で示した近似リーマン解法(補間スキームを含む)を改良することによっても課題を解決できる見通しが概ね得られているため。
[1] X.D. Liu, et al., Weighted Essentially Non-Oscillatory Schemes, J. Comput. Phys., 115 (1994), pp.200-212.
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今後の研究の推進方策 |
前年度の実施計画内容のフォローアップを行うと共に,今年度の研究実施計画に従って研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の実施内容まで含めた研究の遂行には相応の性能を有する並列計算機が必要となり,初年度に購入する計画であったが,初年度に実施した研究内容の範囲では既設の計算機環境で対応することが可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度以降の研究実施計画の内容を遂行するために必要となる計算機環境をH27年度に構築するため,計画どおり研究費を使用する。
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