研究実績の概要 |
本研究課題は,低温の天然ガスなど常温の空気より重い気体(高密度ガス)が漏洩した際の大気拡散挙動を再現するモデルの改良ならびにそのモデル方程式を精度良く解くための数値計算手法に関するものである.高密度ガスの大気拡散モデルは大きく3つに分類され,本研究では比較的詳細な物理モデルの組み込みが可能で,かつ実用的な計算時間内で数値解を得ることが可能な浅層モデルに着目している. 平成28年度は前年度に引き続き,浅層モデルに基づいた解析コードの一つであるTwodee-2[1]を対象に風洞実験結果と比較し,移流項の数値計算スキーム及び空気連行モデルの改良を行った.また,CFDモデルとしてFire Dynamics Simulator ver.6(FDS6)を用いた詳細解析において計算格子幅が数値解に及ぼす影響を調査した.六フッ化硫黄(SF6)が傾斜面上を自重によって流動する場合を対象に浅層モデルとCFDモデルの計算結果を風洞実験結果と比較したところ,実験値の再現性に大きな優劣は見られないものの,計算コストの観点からは浅層モデルが圧倒的に優れているため,多数のシナリオを取り扱う必要のあるリスク評価の影響度解析では浅層モデルの活用が適していると思われる.
[1] A. Folcha, et al., "Twodee-2: A shallow layer model for dense gas dispersion on complex topography", Computers & Geosciences, Vol.35, (2009), 667-674. [2] K. McGrattan, et al., "Fire Dynamics Simulator, Technical Reference Guide, Volume 1: Mathematical Model", NIST Special Publication 1018-1 Sixth Edition, (2015).
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