研究課題/領域番号 |
26350469
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
島田 行恭 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 化学安全研究グループ, 上席研究員 (10253006)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロセス安全管理 / 変更管理 / リスクアセスメント / プロセス安全情報 |
研究実績の概要 |
化学プロセスプラントにおける変更管理の体系化を目的として,1)変更起案,2)リスクアセスメントの実施とリスク低減措置の検討,3)危険性情報共有の各機能について検討した. 1)変更起案について:化学工学会安全部会のテクニカルレポートや米国CCPSのガイドラインなどを参考に,起案事項が変更管理の対象となるかどうかを判断するための同種置き換えの基準や事例などについて把握した. 2)リスクアセスメントの実施とリスク低減措置の検討について:プロセス災害防止のためのリスクアセスメント等の進め方として,リスク低減措置の有効性検討などを明示的に記録する方法を提案しているが,変更を実施しようとした場合に,既存のリスク低減措置の設計意図はどのような影響を受けるのかを確認(検証)することが重要となる.今後は変更管理実施の対象とされた起案事項に対して,リスクアセスメント及びリスク低減措置の検討を確実に実施する仕組みについて検討する. 3)危険性情報共有について:「危険性情報とは何か」について議論する過程で,リスクアセスメント等の実施に伴う「プロセス安全情報」の更新と取り扱いに関する課題が明らかとなった.化学工学会安全部会では,プロセス安全管理の業務プロセスモデルを構築するとともに,プロセス安全管理に関する各業務実施に関係する資源(人,モノ,情報など)をリストアップしている.これに対して,具体的な変更管理の事例を,従来提案しているライフサイクルエンジニアリングの業務プロセスモデル上でトレースし,それぞれの業務に関連する情報とその流れなどを確認した結果,このリストに示されたプロセス安全情報は変更管理実施に伴い,確実に更新され,関係者により共有されなければならない情報でもあることが分かった.今後は,この確認作業の結果を参考に,プロセス安全情報の更新と共有を基本機能とした変更管理の進め方を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変更管理の進め方について,米国CCPS等により発行されている文献,資料等を調査していたところ,新たにプロセス安全情報の更新・共有についての課題が明らかとなり,この課題についての議論を先行させたため,具体的な変更管理の進め方(体系化)を確立するには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
プロセス安全情報の更新と関係者による共有を可能にする変更管理の進め方を定義するとともに,変更管理支援システムの仕様を検討する.起案事項に対する変更管理実施の必要性の判断,リスクアセスメント等の実施,プロセス安全情報の更新と共有などの機能に分割し,それぞれの機能実施に関係する資源とその流れなどをまとめる.また,次のようなユーザー視点を念頭に,ユーザーの使い勝手を考えた変更管理支援システムの仕様について検討する. ①起案事項が変更管理の対象となるかどうかを判断する起案者の視点. ②リスクアセスメントの実施及びリスク低減措置の検討を実施する安全管理者,プラント設計者,現場作業者などの視点. ③変更実施後にプロセス安全情報を更新する安全管理者やそれらの情報を共有すべき現場作業者などの視点.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での調査の代わりに,国内で開催されたプロセス安全に関する国際会議(WCOGI2014)に出席し,情報収集などを行ったため,予定していた海外旅費の分が繰り越された.
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議等への参加,及び国内企業への調査訪問回数を増やす.また,変更管理支援システム開発のソフト面での議論を行うために,新たに岡山商科大学の箕輪助教が連携研究者として参加することとなったので,計画時よりも多くの打合せ旅費などが必要となる.
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