研究課題/領域番号 |
26350480
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
仁科 健二 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (40446373)
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研究分担者 |
川上 源太郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (40446365)
内田 康人 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (60465961)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 津波シミュレーション / サンドリッジ / 沖積層 / イベント堆積物 / 珪藻遺骸群集 |
研究実績の概要 |
2014年度は、①海底地形解析、②地形津波シミュレーション、③沖積ボーリングコア解析をおこなった。 ①既存の海底地形データをもとに北海道の日本海沿岸のサンドリッジ状の海底地形を探索した。これまでにサンドリッジの存在が指摘されている石狩湾のほか、厚田沖、初山別沖においてもサンドリッジ状の海底地形を確認した。石狩湾の海底地形と対比して多面的に、それらの成因について検討することが可能となった。 ②計算パッケージ(iRICソフトウェア、 ELIMOソルバー)を利用した津波シミュレーションを実施した。計算は2014年9月に国土交通省が公開した日本海沿岸の断層モデルから石狩湾沿岸への影響が最も大きなモデルを選択し波源とした。計算の結果、対象となるサンドリッジが存在する水深40 m付近の最大流速は南東向きに0.6 m/sが得られた。この結果ならびに流れの継続時間、さらに津波の頻度が1000年間に一度程度であることを考慮すると、現在、石狩湾の水深40 m付近に存在しているサンドリッジ状の大型の海底地形が津波の作用によって形成されたとは考えにくい。 ③沖積層ボーリングコア中のイベント堆積物と対照するための基礎情報として、現在の石狩川最下流域の河道内で河床底質を石狩浜の前浜および後浜で砂質試料を採取し、珪藻遺骸群集および砕屑物粒度を分析した。これによって得た知見を加え、これまで未解明であった泥層の成因をふまえた新たな河口デルタの堆積モデルを提示した(川上ほか,2014)。さらに、沖積層中の津波イベントの解釈に必要な資料とするため、2011年東北地方太平洋沖地震津波による浅海の堆積現象にともなう珪藻群集の化石化過程について、岩手県広田湾で得られた柱状試料を解析し、津波堆積物中の珪藻遺骸群集は淡水性種が多産するといった特徴を明らかにした(嵯峨山ほか,2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
津波シミュレーションが実施できたことで計画達成に対して大幅な目途がついた。海底地形解析、および堆積物コア解析のための現世堆積物試料の採取ともに、研究計画は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は研究計画どおりに実施するとともに、2014年度の成果を踏まえて、太平洋沿岸の津波痕跡、および海底柱状試料を参照用に解析し、その知見を日本海沿岸の津波履歴解明に適用する。 2014年度の成果では、津波の流れによってサンドリッジが形成されたとは考えにくいが、表面の微地形や内部の構造に津波の痕跡が残されている可能性がある。2015年度は当初の計画どおり、サンドリッジ表面の底質分布、微地形探査、および内部構造探査を実施する。 河川下流の底泥中には海生の珪藻遺骸がほとんど含まれていなかったため、明らかな津波堆積物を対照試料とした化学的痕跡を指標としての適用性を検討する。 2011年東北地方太平洋沖地震津波を含む、日本海溝・千島海溝を震源とする津波シミュレーションを実施し、既存の海底コアに記録されたイベント層準の再解析、ならびに再解釈をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,参加を予定してた学会の開催が3月から翌年度4月になったため,次年度使用額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
当該学会の旅費に充当する予定。
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