研究実績の概要 |
過去のギリシャにおける先行研究では、臨界点を知るための指標であるκ1をどの地点から解析をすればよいかというのは臨界状態になった地点から開始すればよいとされている。もしそのような場が臨界状態になり始めたとするならば、他の地震・測地学的、地球化学的、地球電磁気的などの先行現象が同時期に発生している可能性がある。2011年東北地方太平洋沖地震においては、1月上旬からκ1算出の開始時とすると本震直前にβというκ1の分布を示すパラメーターが最小になることがわかっている。その地点においては、地磁気の変動、測地的変動の報告があり、整合的な結果が得られていることがわかった。現在この成果は、投稿準備中である(Sarlis et al., 2017)。 他の地震活動解析との比較を、2016年熊本地震において行った。ETAS, RTM, b値, Z map, 前震発生密度解析などの複数の地震活動度解析手法を適用し、先行的変動の指摘は行えた(Nanjo et al., EPS, 2016)。一方、本地震に、Natural time解析を適応したところ、κ1の分布が0.07に収束していく結果は得られ、他の地震活動解析における先行的変動とκ1分布変動に関連がみられた。現在この成果は出版準備中である。 また地震活動解析以外においても臨界点の地震発生の関係を探るべく先行現象研究は行った。人工衛星データによる電離圏先行現象の統計的検証(Togo et al, 2017)、2011年東北地方太平洋沖地震における地震先行的地下水位異常などの成果は得られ出版した(織原 & 鴨川, 2016)。
|