研究課題/領域番号 |
26350484
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
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研究分担者 |
田邊 直仁 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (40270938)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 防災・危機管理 / 自治体職員 / 健康管理 / 業務管理 / 人事管理 / 産業保健 |
研究実績の概要 |
平成28年度は前年度までに実施した3つの調査の解析を進めるとともに,地方自治体の防災・危機管理担当部署における平時の業務負担等の現状と課題を明らかにすることを目的として,これまでの研究成果を参考に質問項目を設定した無記名自記式の「自治体の防災・危機管理担当部署職員の現状に関する調査票」(職員用),「自治体の防災・危機管理担当部署の職員管理,人材育成等に関する調査票」(部署用)を作成し,平成28年12月~平成29年2月に全国調査を実施した。調査対象は47都道府県,20政令市,及び全国の市区町村から地域・自治体種別により層化無作為抽出した500自治体(計567自治体)の防災・危機管理担当部署及び所属職員である。平成28年度は職員用調査の集計を行い,「宿日直あり」は都道府県が6割に対し,他自治体は2割前後,「待機当番(オンコール)あり」は都道府県8割,政令市7割に対し,市区町村では2~3割という自治体種別による相違が明らかとなった。一方,前所属と比較した防災・危機管理担当部署の業務負担感に関しては,自治体種別によらず,量的負担感は6割以上が「増えた」,質的負担感は7割以上が「増えた」と回答しており,ストレスに関しても6割以上が「増えた」であった。負担感やストレスの要因(複数回答)としては「常に何かが起こるという緊張感」が51%と最も多かったが,40%以上が選択した項目は「業務量が多い」,「拘束感が強い」,「人員不足」「対応事案が多岐にわたる」など内容が幅広かった。以上より防災・危機管理担当部署職員における業務負担度の高さ,負荷の多様さが明らかとなり,負担軽減対策が必要と考えられた。また人事・業務管理対策としては人員増のほか,全庁的なローテーション,防災専門職(エキスパート)養成人事,業務代行体制,研修充実を重要と考える職員が3割以上と多く,これらを考慮した対策の立案が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では,地方自治体の防災・危機管理担当部署を対象とした平時における業務負担等の現状と課題を明らかにするための全国調査は平成27年12月に実施する予定であったが,下記の理由により結果的に調査時期を1年延期せざるを得なくなったため。 (調査を延期した理由) 研究代表者が平成27年11月に受傷(全治6ヵ月)し,同年12月実施予定の自治体の防災・危機管理担当部署を対象とした平時の業務負担等の全国調査を平成28年度前半に変更したが,4月に熊本地震が発生し,被災地はもとより非被災自治体も応援等のため防災・危機管理部署の業務は非平時状態となった。研究目的達成のため災害規模を考慮し半年間の調査延期を決定したが,10月の鳥取県中部地震により更なる延期が必要となり,実際の調査実施時期は当初計画より1年遅れの平成28年12月~平成29年2月となった。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に記載した通り,当初計画のほぼ1年遅れで進行している。平成29年度は前半に自治体の防災・危機管理部署を対象とした全国調査の集計・解析を終了し,調査への協力を依頼した自治体に対する報告書を作成する。さらにこれまでの研究成果を総合的に評価し,防災・危機管理担当自治体職員に対する適切な健康管理,業務管理,人材管理対策を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
自治体の防災・危機管理担当部署を対象とした平時における業務負担等に関する全国郵送調査を平成28年度前半期に計画していたが,熊本地震(4月),鳥取県中部地震(10月)の発生により,研究目的遂行のため調査実施時期を平成28年12月~平成29年2月に延期した。そのため協力を依頼した自治体に対する報告書の作成と発送の年度内実施が困難となり,平成29年度に順延せざるをえなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成29年度前半に計画している協力依頼自治体(47都道府県,20政令市,500市区町村の計567自治体)に対する報告書の作成費用と発送費用および平成29年度後半期に予定している研究成果報告の旅費等に充当する。
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