研究課題
慢性心不全における交感神経活動の亢進は、病態の進行に中心的な役割をはたしている。高血圧患者に対する腎交感神経アブレーションが、近年、欧米を中心に行われている。我々は、心房内容量負荷による単一筋交感神経活動の記録を世界で初めて成功し、心不全における交感神経活動の亢進が、心房内の求心性交感神経刺激受容体を介していることを明らかにした。このことは、心不全における心臓内の求心性交感神経活動の亢進が、新たな治療のターゲットになりうる可能性を示唆していた。本研究の目的は、ヒトにおける求心性心臓交感神経受容体の局在同定を試みるとともに、心臓内アブレーションにて交感神経活動を抑制できるかを評価し、心不全治療に応用できる可能性を検討することである。心房内の求心性心臓交感神経受容体の局在同定を試みるために、心臓内アブレーションの治療適応となっている発作性心房細動の患者において、心房細動アブレーション時における筋交感神経活動の同時を測定する。その際に、アブレーションカテーテルによる心房進展・高頻度刺激を心臓内膜面から行うことにより、心房内の求心性交感神経刺激の影響を検討する。これらのデータ蓄積から、新たな心不全患者に対する直接的非薬物療法開発の可能性を検討していく。現在までの、9例での症例を登録し、経過をfollow中である。実施中に大きな合併症などはなく良好な経過であると考えてる。症例によっては、交感神経活動の亢進を認めるものもあり、まだ症例の追加検討が必要な状況であると思われる。
3: やや遅れている
発作性心房細動における交感神経活動解析は順調であるが、リクルートが十分にできていない。除外基準の途中変更も考慮されたが、現在9例まで症例登録しており、残り、1-2例であるため、このまま継続可能と考えられる。
症例の登録が終了すれば、あとは、経過観察を行うのみである。現在の9例は十分に追従しているため、問題ないと考えている。
解析用のコンピューターの購入を予定していたが、修理にて改善したために、区分研究費に余裕ができている。しかしながら、解析ソフトの老朽化があるために本年度に購入を考えている。
筋交感神経活動記録に必要である微小電極の購入が主であり、また、本年度に解析ソフトの購入を考えている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
J Nucl Cardiol
巻: Jan 9 ページ: 363-371
10.1007/s12350-016-0760-4
Clinical Assessment of the Autonomic Nervous System
巻: 6 ページ: 93-105
10.1007/978-4-431-56012-8_6