研究課題/領域番号 |
26350503
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 克也 徳島大学, 大学院理工学研究部, 講師 (10403651)
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研究分担者 |
南 和幸 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (00229759)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞骨格リモデリング / メカノバイオロジー / 細胞バイオメカニクス / 骨芽細胞 / メカノトランスダクション |
研究実績の概要 |
本研究課題では,独自に開発した細胞伸展MEMSデバイスを用いることで,伸縮刺激を受ける骨芽細胞の動態を高時間・空間分解能でその場観察することに成功した. まず,細胞伸展MEMSデバイスを改良し,繰り返し周波数1Hzで90分間の連続的な伸縮刺激付与を実現した.従来のデバイスでは光硬化性樹脂製のストレッチチャンバー把持アームを有していたが,繰り返し伸縮に伴う変形により疲労破壊することが懸念されていた.そこで,このアームを廃した新規なデバイス構造を考案し,実際に所望の性能が発揮されることを確認した. 次に,Lifeact-GFP蛍光タンパク質を遺伝子導入した骨芽細胞様細胞の培養・実験観察系を確立した.これにより,伸縮刺激付与下における骨芽細胞内のアクチン細胞骨格ダイナミクスを可視化することに成功した. これらの成果を受けて,伸縮刺激を受ける骨芽細胞内のアクチンストレスファイバー構造が受ける変形のその場観察を試みた.レーザー走査型蛍光顕微鏡の画像取得による画像の歪みを抑えるために,準静的な引張り条件下において伸展付与時のその場観察を実施し,経時観察画像の取得に成功した.得られた画像から細胞内の個々のストレスファイバーに生じる長さ変化を計測し,細胞接着基質の変形と細胞内の変形場分布は必ずしも一致せず,細胞内には不均一な変形場生じていることを明らかにした. 最後に,90分間の繰り返し伸縮刺激付与下におけるアクチン細胞骨格リモデリング動態の経時的その場観察を試みた.その結果,伸縮刺激の付与により脱重合されるファイバーと構造が維持されるファイバーとが共存する様子を捉えることに成功した.この結果より,脱重合されるファイバーは細胞の輪郭周辺に局在する可能性が示唆された.しかしながらアクチンの重合を含むリモデリング動態のその場観察は達成することが出来ず,今後の課題として残った.
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