研究実績の概要 |
本研究は、研究室で開発してきた皮質上活動する細胞の二次元空間的位置をマイクロメートルの空間分解能でイメージングすることができる内因性光計測システムに、時間分解能の優れているマルチ微小電極記録を取り入れ、高い時間・空間分解能を持つ計測システムの開発を目指す。 初年度において、まず、既存光計測システムに適用できるマルチ電極の選定・開発を行った。既存の光学的計測システムに時間分解能の高い電極による記録法を取り込むことは本研究の目的なので、これまでに本研究室で開発してきた光学的計測システムの大幅な変更をせずに、マルチ電極アレイによる電気生理学的計測と光学的計測を同じ皮質領域で行い、結果について検討した。決定助成金額の減額のため、当初の計画と異なり、二年目ではなく初年度から動物実験を導入した。計測の対象は、システムの検証のために、まずは日本ザルの側頭葉下部皮質ではなく、ネコの視覚野とした。結果について記録した信号の性質を解析し、生理学的な意味も検討しながら、システムの大枠を構築した。 同時に、システムに組み込む相関性を解析するプログラムの開発も行った。脳内において刺激間の距離を評価するために、それらの刺激に対する反応の相関係数の利用を提案した。具体的に、n個の神経細胞の応答を用いて、物体画像iに対してn次元のポピュレーションベクトルviを生成した。物体セット毎に16枚の物体画像があるので、16個のn次元のポピュレーションベクトルvi(i=1,2,…,16)が存在した。ポピュレーションベクトル間のピアソンの積率相関係数を求め、物体画像に対する細胞集団の応答パターンの類似度を評価した。解析は、それぞれの時間窓において、細胞集団としての反応性を調べることができるようになった。
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