平成28年度の今年度は、本研究助成の最終年度である。今年度においては、主に、取集したデータの解析と論文の作成を行った。実験の部分において、研究成果として、主に以下の3点がある。 第一、実験的に、これまでの研究で完成した計測システムを用いて、動物を対象に計測を試みた。計測システムの基本的な構成についての変更は行わなかったが、実験現場の状況や様子に合わせて、記録用チャンバー・投射光源を収納する部分の形、皮質表面の動きに伴うノイズを抑えるためにチャンバー内に入れる液体の構成、導線や実験に必要なそれぞれのパーツの配置などについて検討を行った。実験と調整の繰り返しで、より扱いやすい計測システムを構築することができた。 第二、実験手順の最適化について、検討を行った。開発した本システムの使用目的は、多様であるため、それぞれの目的に応じた最適な手順について検討する必要がある。より効率的に実験進行するために、実験の目的に合わせた実験プロトコールの完成を目指した。最も短時間において効率的な実験手順について検討した。 第三、この年度に最も時間を費やしたのは、細胞集団の活動を対象としたデータ解析方法の確立であった。細胞集団の振る舞いを調べるために、物体セットごとに個々の細胞の発火から細胞集団ベクトルを構築し、物体セット内の画像に対する細胞集団の応答パターンを比較した。検討した結果、細胞集団における応答パターンの類似度を評価するためのパラメータを提案した。
|