軸索損傷は急激な頭部の加減速による慣性力が脳を変形させ,結果として軸索が引っ張られることで起こる.本研究では,軸索損傷の発症閾値におけるひずみ速度依存性の影響を調べるため,培養神経細胞に単軸引張を負荷した.ひずみ0.15以上かつひずみ速度30 /s以上の引張条件下で軸索損傷が増加することを示した.また軸索に沿ったひずみが軸索損傷に与える影響を調べるため,引張方向に対する軸索の配向角度別に軸索損傷を測定した結果,軸索ひずみが大きいほど損傷していることが認められた.これらの結果を踏まえ,個々の軸索により正確にひずみを負荷でき,引張前後で同一細胞の活動電位を計測できる実験系を確立した.
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