研究課題/領域番号 |
26350513
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
福岡 豊 工学院大学, 工学部, 教授 (30242217)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 体性感覚フィードバック / 振動刺激 / 弁別実験 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、最適な振動パターンの探索を中心に研究を行った。具体的には、被験者の上腕に1個の振動刺激提示装置を取り付け、アナログ波形(正弦波、三角波など)とパルス列を駆動信号として振動刺激を加え、弁別率を比較した。その結果、アナログ波形は周波数が同じ場合非常に弁別しづらいこと、パルス列を駆動信号として用いることが適切であることが明らかとなった。また、2つのパルス列を弁別しやすくするためには、以下の組み合わせが有効であることを示した。1) 一方を完全な周期パルス波形とし、もう一方をオンの時間が増加(あるいは減少)するパルス波形とする。2) 最初のオンの時間が大きく異なる2つのパルス波形とする。3) デュティー比が大きく異なる2つのパルス波形とする。この研究成果の一部をIEEE EMBC 2014 で発表した。多くの研究者と、研究のアイディアについてディスカッションすることができ、有益な示唆を得た。 また、刺激提示装置およびデータ処理法についても検討し、平成27年度に行う1リンク倒立振子制御実験に用いる装置の仕様を決定した。この実験では、リアルタイム性が求められるので、従来の LabVIEW では実験系を構築することはできない。そこで、FPGA を利用したリアルタイムモジュールを用いる必要がある。これらの要求仕様を満たす入出力および処理モジュールを選定し、振動刺激提示装置についても具体的な仕様を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の目標は、最適な刺激パターンの探索であった。研究実績の概要で述べたとおり、弁別しやすいパルス列のパターンを明らかにしたので、目標はほぼ達成したといえる。今後の倒立振子制御実験を通じてパターンのさらなる調整を行い、体性感覚を通じた傾斜角のフィードバック法を確立する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は、1リンク倒立振子モデルをコンピュータ内に作り、体性感覚フィードバックを用いて、それを制御する実験を行う。そのために必要な装置は入手済みであり、前年度の研究成果を踏まえて、実験を積み重ねていく。適宜、学会で発表し、生体医工学分野の研究者とディスカッションを行い、研究を発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
振動刺激提示装置の主要な部品である振動モータについて、多くの機種の特性を評価する必要があると考えて、電子部品の費用を計上した。しかし、実際に特性を評価したところ、似た特性のものが、多く計上した予算金額までは使用しなかった。また、国内学会での成果発表のための旅費を使用しなかったため、その分で若干の差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究計画を着実に遂行する。そのために、必要な消耗品などを早めに手配する。また、学会などでの研究成果の積極的な公表を行う。
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