昨年度、マウストロポニンプロモーター(Tnnt2)とその下流にカルシウム濃度依存的に蛍光強度が変化するpGCaMPを導入したベクター(Tnnt2::GCaMP)を用いて、心筋様細胞として知られるP19.CL6への一過性導入実験を実施し、さらにクローニングを開始した。昨年度の問題点としてTnnt2の発現時期が遅いためスクリーニングに時間がかかることを挙げた。本年度は常時発現する35Sプロモーターの下流に蛍光タンパク質を繋いだベクターと二つ並べたベクターを構築した。タンデムベクターによるスクリーニングは現在も続けている。一方、Tnnt2::GCaMPで形質転換した細胞については、ある程度スクリーニングが進んだことから、ゲノムへの導入確認や、AFS内での発現観察を行った。導入遺伝子は、Tnnt2類似の配列に挿入されたものや、unknown配列に挿入されたものが存在した。一方で観察については、AFS内でも心筋分化に伴い、蛍光が観察されたが、その強度が弱く、十分な解析が困難であり、解析手法の再検討が必要と考えられた。さらに上記と同時並行で35S下流にカルシウム濃度依存的に発光するNanoLanternを持つベクターが入手できたことから、こちらについても細胞の形質転換および、スクリーニングを進めている。NanoLanternは既存の蛍光タンパク質とは異なり、特殊な蛍光顕微鏡がなくても観察が可能であり、その強度も通常のGFPなどより強いことが報告されている。βTCPを用いた繊維状足場材利用TFS (βTCP fiber scaffold)も作製した。作製したβTFSは取り扱いが困難なほど脆い素材であったため、ポリマーを補強材として添加することを検討している。
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