研究課題/領域番号 |
26350518
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
秋元 卓央 東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (90367194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 蛍光増強 / 蛍光顕微鏡 |
研究実績の概要 |
薄膜干渉基板上で細胞を培養するために誘電体膜の材質の検討を行った。従来、誘電体膜としてはアルミナや二酸化ケイ素などの無機材料が使用されてきたが、これらの無機材料を使用した薄膜干渉基板上で細胞を培養すると誘電体膜が容易に破損してしまうことが観察された。そこで、誘電体膜として有機物質のプラズマ重合膜の検討を行った。プラズマ重合膜は有機材料を真空中で重合する方法であり、有機材料を適切に選択することで強固で細胞の培養に適した膜が作製できると期待した。実験ではエチレンジアミン、ヘキサメチルジシロキサン、アセトニトリル、3-アミノプロピルトリメトキシシランの4つの有機材料のプラズマ重合膜を作製しこれらの接触角と表面粗さを測定した。また、それぞれの膜上でHepG2細胞を培養し、その生細胞数を測定することで最も細胞培養に適した膜を検討した。検討の結果、エチレンンジアミンのプラズマ重合膜が最も細胞培養に適していることがわかった。薄膜干渉基板上での蛍光は誘電体の膜厚に強く依存するため、膜厚の異なるエチレンジアミンのプラズマ重合膜を用いて薄膜干渉基板を作製し、そこにGFPを発現するHepG2細胞を培養し、GFPの蛍光が最も強くなるプラズマ重合膜の膜厚を検討した。この結果、60 nmのプラズマ重合膜が最適であることがわかった。このときのGFPの蛍光は通常のガラス基板を用いた場合の蛍光に比較し2.4倍程度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養をするための薄膜干渉基板の誘電体膜の検討はほぼ順調であった。一方、顕微鏡の作製についても着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
顕微鏡の開発を行い、作製した薄膜干渉基板と組み合わせた実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
誘電体の検討が予想よりも順調に進み、細胞培養に必要な消耗品費がかからなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
(未使用額75,295) 27年度は、顕微鏡作製のための光学部品や細胞培養用のための培地、蛍光物質を購入する。また、誘電体膜検討のための有機物質の購入も行う。学会発表のための旅費も使用する予定。
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