β-リン酸三カルシウム(β-TCP)は、生体適合性の高い骨補填剤として臨床での実績をもつ。本研究計画では、β-TCPの免疫系賦活作用に着目、新規ワクチン・アジュバントとしての開発研究を行い以下の知見を得た。 (1) β-TCPはマクロファージ(MΦ)と樹状細胞(DC)の活性化と成熟を誘導する。(2) Toll様受容体(TLR)リガンド存在下にβ-TCPはMΦとDCにおけるインフラマソームを活性化する。(3) マウス腫瘍モデルにおいて、β-TCP はTLRリガンドと相乗的に作用し、がんワクチンの抗腫瘍効果を著しく増強する。以上より、β-TCPが有望なワクチン・アジュバントであることが示された。
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