研究実績の概要 |
ポリエステルは誰しも身にまとう繊維樹脂や、飲料用のPETボトル、更にはエンジニアプラスチックなど我々の日常には欠かせない高分子材料である。しかしながら、分解性の制御が難しいため,生体内で利用する例はポリヒドロキシアフカノエート等の数例しかない。一方、これまで当研究室で開発されてきたポリエステル樹脂は3,4-dihydroxyhydrocinamic acid(DHHCA)と3-(3-Hyd roxyphenyl)propionic acid(3HPPA)の共重合体は天然物から合成されており、生体親和性が高く、加水分解後も毒性が低い医療材料と期待されている。また,このバイオポリエステルは、「後から化学修飾を行うことで機能を付与することが可能」、「その場重合でないため、未反応モノマーを取り除くことが可能」といった特徴も有している。しかし、加水分解の調整については研究されておらず,長期水中浸漬後に接着強度が減少するという結果が得られている。これは、破壊面から吸水が確認できたことから、吸水による被着材と接着剤間との界面における接着力の低下が原因だと考えられる。Poly(DHHCA-co-3HPPA)を生体内で応用するにはウェットな条件下で機能の劣化を防ぐために十分な耐水性が必要である。そこで、本研究ではpoly(DHHCA-co-3HPPA)に疎水基を化学修飾し、疎水性を付与することで吸水を防ぎ、耐水性を向上させることを目的とする。Poly(DHHCA-co-3HPPA)と飽和脂肪酸数種類を反応させ、疎水性脂肪族鎖のバイオポリエステル接着剤への導入の検討、耐水性試験をい,水中で安定なバイオポリエステル接着剤が合成できた。
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