研究実績の概要 |
これまでに論文公表されているものも含めて種々シクロデキストリン(CDx)を用い、BPAの水溶性を増加させるために以下に示す複合化方法を網羅的に検討した。実際に使用したCDxはα-CDx, β-CDx, γ-CDx, δ-CDx, ジメチル-β-CDx, ジメチル-γ-CDx, ヒドロキシプロピル-β-CDx, ヒドロキシプロピル-γ-CDx, ヒドロキシブチル-β-CDx, ヒドロキシブチル-γ-CDx, スルホブチルエーテルβ-CDx, カルボキシエチルチオエーテル-γ-CDx, 硫酸化-β-CDx である。また、複合化方法として乳化法、飽和水溶液法、混練法、高速振動粉砕法、超音波分散法を検討した。 種々検討した条件の中で、シクロデキストリンとしては、医薬品グレードが入手可能な誘導体であるヒドロキシプロピル-β-CDx、複合化方法としては高速振動粉砕法(25 Hz, 30 min)を用いた際に、BPAに対する水溶化率77%, 最高濃度[B]=1000 ppmを達成した。現在臨床研究においてBPAを投与する際にはフルクトース錯体として投与を行うが、その際のホウ素濃度とほぼ同等の値を得ることに成功した。今回の方法は、複合体調製後は粉末として長期保存が可能であり、術時調整も食塩水で熔解するのみで有り、医師にとっての負担を大きく低減することが可能となる。
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