研究課題/領域番号 |
26350529
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
望月 明 東海大学, 工学部, 教授 (00384925)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 血液適合性 / ブロックポリマー / 分子運動性 / 水の運動性 |
研究実績の概要 |
<ポリマー関連> ポリマー合成に関しては予定以上に進んでおり、2018年度予定のポリエーテルを使った3元系のブロック共重合体PTMG-PMMA-PTMG、PPG-PMMA-PPGを調製できた。これら3元系のポリマーの血小板適合性に関しては粘着テストにおいてはPPG-PMMAジブロック共重合体より劣る傾向が一次評価で認められた。PPG-PMMAブロック共重合においてPPG鎖長の適合性への影響観察からPMMAにおいてはその分子量が5000程度では末端基の影響が大きいことを見出した。そこで、当初研究計画にはなかったが末端基構造の異なるPMMAを合成し、末端基の運動性とそれが及ぼす適合性はじめ諸物性への影響を検討し、運動性とそれらの間に相関性の存在が示唆された。 <適合性評価法関連> 血小板適合性評価法の開発においては昨年度(26年度)にFACSを使っては明確な評価が出来なかったが条件等を詳細につめ、PAC-1を使って材料間の差が明確に判定できるようになった。白血球適合性については活性酸素の産生量からの適合性判断法を検討し、人末梢血由来単核球について評価する方法を検討した。蛋白吸着定量において表面プラズモン法(SPR)に関し検討し、ポリマーの金センサー表面への固定化にあたり、金表面にチオール化合物でSAMを一旦形成しその上にPMMA等をコートすることで蛋白吸着を定量出来る方法を開発できた。 <NMRによる運動性評価> 溶液NMR の緩和時間からポリマー官能基の運動性と血小板適合性、フィブリノーゲン吸着(SPR)についてそれらの関係を調べているが、官能基の運動性が高いほど適合性が優れ、タンパク吸着が減少する傾向にあった。水の分子運動性についても測定条件を検討し、ポリマーあるいは開始剤のエーテル酸素と相互作用することを示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリマー合成および血小板適合性評価に関しては計画以上に進行している。また、当初計画にはなかった末端基の適合性への影響を見出し、これとその運動性の相関を示唆するデータを得ることができた。NMRによる緩和時間/運動性評価においては液相での結果(特定の官能基の運動性の大小)が適合性の挙動と一致していることが分かってきた。また、水分子の運動性も材料の運動性に影響を受けていることを明らかにできつつある。これらのNMRの評価法(液系)は当初計画の個体系NMRでの評価からは逸脱しているが当初期待した結果が出つつあり、研究遂行で問題にはならないと思われる。血小板系に対する適合性評価法に関しては順調に評価技術の確立ができた。樹状細胞に対する刺激性評価については再現性が不十分で傾向は掴めるものの有意差を出すまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
水分子、高分子ともに液体系でのNMRでの運動性を調べてきたが、固体状態との相関が不十分であり、モデル系を選定し固体vs液体NMRの相関を検討する。蛋白吸着についてはSPR法において検討対象とする蛋白種を増やすとともにμ―BCA法を用いた評価法についても検討する。血液適合性については特に単球由来樹状細胞の1つ前の段階として白血球系の評価を展開する。単核球に加え、好中球についても検討を進める。これまでの成果の論文化を急ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の値引きが当初予想より大きく、安く納品されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費に充当して使用する。
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