研究実績の概要 |
昨年、開発した一軸方向に伸展可能なデバイス開発の知見を基に、xyの二軸方向に伸縮可能なデバイスの作製を行った。作製したデバイスはx軸方向を固定化しながら、y軸方向を固定化し、その後、デバイスを各軸方向に伸展するデバイスとなった。しかしながら、手動での伸展機構を取り入れた点、また、扱うサンプルのサイズが1.5cm各の正方形のサンプルをターゲットとしたため、複雑な機構となり、目的のサンプルを伸展することは可能であったが、細胞培養や伸展しながらのAFM、FI-IR/ATRやXPSなどの表面物性評価には適さないデバイスとなった。その点を改良するために、3Dプリンターで把持部を作製しステッピングモータ機構を取り入れたxy軸方向に伸展・伸縮可能なデバイスを改めて作製した。本デバイスにより細胞培養が可能な伸展デバイスを作製することができた。また、把持部だけを利用することで伸展させたまま、FT-IR/ATRでの評価が行えることを確認した。新規な温度応答性高分子、p(N-methacryoyl-N`-isopropynoly-1,3-diaminopropane)(NMANPIproDAP)をPDMS表面に固定化したNMANPIproDAP-PDMSを使い細胞培養評価を行った。使用する細胞はウシ血管内皮細胞を使用した。伸展前後における細胞培養評価の結果、基材を伸展(伸展率:20%)させることで細胞接着性が向上することを確認した。伸展における細胞接着性向上は、基材表面の接触角測定の結果と同様な傾向を示した。さらに、伸展状態および非伸展状態の基材において細胞は増殖しコンフルエント状となり、温度を20℃付近に低下させることで、細胞をシート状で剥離することに成功した。さらにNIH3T3細胞を利用し、NMANPIproDAP-PDMS基材表面上での伸展・収縮培養への応用も試みた。
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