研究課題
卵黄レシチン(eggPC),大豆レシチン,長鎖アルコール及び生体模倣ペプチド類を組み合わせて人工調製型肺サーファクタントを創製した。生体模倣ペプチド類は両親媒性表面表在型,膜貫通型,また両方の性質を持つ3種のペプチドを新規に設計・合成した。表面張力-面積ダイアグラム測定により,5種の調製物は既存薬Surfactenと同様のヒステレシス特性を示した。これら調製物をLS欠乏モデルラットに供したところ,肺コンプライアンス回復率の点において,既存薬よりも有意に優れていた。また喘息に対しても,有意に肺抵抗を抑制した。これらの人工調製型肺サーファクタントは廉価で調製でき,豚インフルエンザ(H1N1),SRAS,炎症性肺疾患,喘息等で併発的に引き起こされる呼吸困難症状への適用も可能で,多いに期待が持たれる。本研究の成果は,広範な呼吸器疾患 (喘息, SARS, COPD,新型インフルエンザ等) への適用拡大へと多大に貢献できる可能性を見出している。
2: おおむね順調に進展している
本研究により我々が考案して人工肺サーファクタントの詳細な薬効・メカニズムが明確と成った。実際の市場化に向けては多くの問題があるが、本研究の目的は達成されたと判断出来る。
1) 既存Surfactenの薬効を凌駕する様な有効な添加物(部分フッ化化合物)を探索する。2) 模倣ペプチドの二次構造と肺サーファクタント物性の関連性を明らかにする。次年度の研究費の使用計画昨年度の成果の追加実験、新規ペプチド、新規フッ素化合物の合成、二次元物性実験に取り組む。それらの成果を論文に纏めまた国際会議にて発表を行なう。
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